よく分かる環境法 土壌汚濁防止法

工場跡地の土壌汚染を管理健康被害を最小限に

農薬や重金属、VOCを扱う工場の閉鎖時に土壌調査を義務化。
汚染が見つかった土地は、指定区域として利用を管理・制限する。
施行から5年が経ち、ブラウンフィールドなどの課題も出てきた。

土壌汚染対策法は、工場や事業場跡地の土壌汚染による健康被害を防ぐための法律だ。
工場跡地の土壌汚染の有無が不明なまま、多くの人が立ち入る住宅や公園に変わってしまうと、健康被害を起こす危険匪がある。そこで同法は、農薬や重金属、揮発陛有機化合物(VOC)などの有害物質を取り扱っていた工場が閉鎖する際に、土壌と地下水の調査を義務づける。汚染が発覚した場合には、その土地(区画)の利用を制限し、健康被害が生じないように管理するというものだ。
土壌汚染対策法の施行前は、土壌汚染への規制は限定的だった。農地の農薬汚染に関する法律はあったものの、市街地を対象にしたものはなかった。 2000年に、「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行。ダイオキシンによる土壌汚染の規制値が決まったのをきっかけに、ダイオキシン以外の有害物質にも基準を設けるべきという機運が高まり、2003 年2月に施行した。

土地所有者が調査を実施

土壌汚染対策法は右ページのチャートのように、大きく4つのステップに分かれる。第1が、工場や事業場跡地の土壌汚染調査である。同法が対象にする「有害物質使用特定施設」を廃止する際に、土地の所有者は国が定める指定調査機関に土壌汚染調査を依頼しなければならない。

ここでいう有害物質使用特定施設とは、水質汚濁防止法で定める「特定施設」のうち、土壌汚染対策法が対象とする26 の有害物質を取り扱っていた施設を指す。水質茜蜀防止法では、汚水や廃液を排出する施設で、1 日の平均的な排水量が50m3 を超える工場および事業所を特定施設と定めている。

一方、土壌汚染防止法の特定有害物質は、ベンゼンやジクロロメタンなどのVOC、カドミウムや水銀などの重金属、チラウムや有機リン化合物などの農薬を指す。

工場の使用者と土地の所有者が異なる場合は、都道府県知事が調査をするよう所有者に通知する。調査費用の分担などは当事者で決めることになるが、責任はあくまで所有者にある。ただし、対象の施設を廃止しても、引き続き工場用地として利用し、従業員以外が立ち入らない場合は、すぐに調査する必要はない。

土壌汚染は、汚染物質の抒幽こよって汚染場所や健康被害の影響が異なる。重金属や農薬は、土壌の表面にとどまるため、手で直接触ったり、ほこりと一緒に吸い込むことで健康被害が起こる。一方のVOCは、表層にはほとんど残らず地下へと染み込み、硬い岩盤( 難透水層) に到達したところで滞留、地下水汚染を引き起こす。周辺地域で地下水を飲用していると健康被害につながる。このため、工場で使用していた有害物質の種類によって、調査方法や対策方法は大きく異なる。

指定区域の土地利用を管理調査の結果、土壌汚染対策法で定める基準値を超える有害物質が検出されると「指定区域」となり、管理の対象になる。これが第2のステップだ。公報で公示するとともに、都道府県力可乍成する「指定区域台帳」に記載、公開される。

指定区域を、工場として利用するのではなく、住宅や公園など多くの人が立ち入る用途に切り替える際には、都道府県に届け出をしなければならない。都道府県は染の影響を検討し、健康被害を引き起こす恐れがある場合に限って、対策の実施を命じる。

土壌汚染対策法の基準値は、非常に厳しい値が設定されている。例えば、汚染物質が地下水に溶け出した場合の基準値は、環境基準と同じ値を採用している。とはいえ、汚染が見つかったすべての事例で早急な対策を求めるわけではない。汚染地区の土地利用を管理し、健康被害の恐れが生じるケースに限って措置を求めている。

次の第3ステップが対策の実施だ。表層土の汚染の場合には、汚染土壌が飛散しないように盛土をするのが一般的。このほか、表層と深部の土壌を入れ替える方法や、化学的な処理などで土壌から汚染物質を除去する方法などがある。一方、地下水汚染の場合、遮水シートなどを地下に埋め込み、地下水と一緒に有害物質が移動するのを防ぐ。

盛土や遮水シートによる対策は、汚染物質が残っているため、指定区域は解除されない。基準値以下に除去した場合に限って、指定区域が解除される。

法律の適用範囲の見直しも

土壌汚染対策法が施行されて5年が経ち、課題も見えてきた。その1つが、法律の適用範囲が限定的であることだ。
土壌環境センターの調査によると、法律施行後に実施された1万2434 件の土壌汚染調査のうち、法律の対象はわずかに1%。都道府県条例などを含めても10 %にとどまる。大半の調査は、企業が自主的に実施したものだ。しかし、約半数の調査で土壌汚染は見つかっている。法律の適用範囲外にも、多くの土壌汚染地区が存在することは明らかだ。

法律の適用範囲外で多くの汚染が見つかるのには、2003 年2月の同法施行前に廃止した工場は法律の対象外になっていることが大きい。土壌汚染への意識の高まりとともに、不動産売買時に法律の適用外でも調査するケースなど力寸曽え続けている。

また、「ブラウンフィールド」という新しい問題も出てきた。ブラウンフィールドとは、土壌汚染の存在によって土地の価値が下がってしまい利用が進まない土地のことを指す。

環境省は、2007 年6月から土壌汚染対策法の見直しの検討を進めている。法律の適用範囲の見直しなどによって、法律の形骸化を防ぎ、より実質的な対策が講じられるようにする考えだ。 07年度内にも方針を固める見通しで、法改正に踏み込む可能性もある。

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