経営・企業活動Ⅱ

赤道原則( エクエーター原則)

一定規模以上のダムや発電所建設、天然資源開発などの開発プロジェクト事業に「プロジェクトファイナンス」( 金融機関が事業の収益性に担保価値を見い出して資金を貸す無担保融資) する際、環境や社会面での影響を評価し、融資実施後に順守状況をモニタリングすることなどを定めた民間金融機関の自主協定のこと。

2003 年に世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が主要な民間銀行と策定したもので、金融機関の環境への取り組みを促進した。オランダの大手銀、ABNアムロ銀行や米シティ・グルーズみずほコーポレート銀行など、世界各国の金融機関54 社(07 年9月現在) が採択している。

赤道原則を採択している金融機関は、融資に際してプロジェクトを進める事業者に対し、社会・環境アセスメント報告書の作成・開示や、環境や社会への影響を軽減するための対策をまとめた「アクション・プラン」の作成、専門家によるモニタリングなどを求める。

ただし、すべてのプロジェクトが対象になるのではなく、事業規模が1000 万ドル以上の新規プロジェクトや、環境などへの甚大な影響が懸念されるプロジェクトの拡大・更新が対象になる。
金融機関はプロジェクト事業者の社会や環境に対する配慮の管理能力を評価する必要がある。具体的には、社会や環境に対するリスクに対処できるマネジメントシステムが整っているか、そして社会や環境に影響を及ぼす行為を働いていないかなどを確認する。

なお、アセスメント報告書には、社会や環境にかかわる評価結果のほか、人権保護、地域社会への配慮、文化財・文化遺産の保護、絶滅危惧種や生物多皆既の保護、持続可能・再生可能な自然資源の使用、労働環境など、多岐にわたる分野についての情報が求められる。

金融機関はIFCが定める基準に基づいてプロジェクトや事業者の社会・環境への配慮を点検し、確実な実施を求める必要がある

エコファンド/SRIファンド

エコファンドは、企業の収益性など従来の投資基準に加え、環境に配慮した活動をしているかどうかや、環境保全を意識した商品作りをしているかどうかといった、企業の環境にかかわる行動を評価して投資対象を選んだファンドである。

一方、SRI ファンドは環境に加えて、法令順守や労働者の人権への配慮、女性の活用、地域貢献など、企業の社会的な活動や倫理性を考慮して投資対象を選んだファンドだ。

SRI は、『Sociall y Responsible ln vestm ent (社会的責任投資)」の略称である。エコファンドもSRIファンドの類型の1 つといえるだろう。

ファンドを設定する金融機関によると、エコファンドやSRI ファンドは、日経平均株価などの指標を上回る
成績を挙げる傾向があるという。
SRIは欧米が先行してきた。例えば、世界でも最大級の年金を抱えるカルパース( カリフォルニア州職員退
職年金基金) などといった一部の機関投資家が率先して実践している。投資家の中には、武器やアルコール、たばこを製造・販売している企業には投資しないという方針を掲げるケースもみられる。

日本では1999 年、日興証券( 当時) が発売した旧興エコファンド」が先駆けとされる。その後、大手証券会社などが続々とエコファンドやSRI ファンドを設定し、運用額も膨らんでいる。

近年は、環境問題や企業の社会的責任( CSR) に対する関心が高まっている。こうした状況を受け、廃水処理や海水淡水化など水関連の技術や、省エネなど温暖化対策に貢献する技術などのようにテーマを特化し、各テーマで秀懲だ企業に投資するファンドも出てきた。なかには、女性が働きやすい制度があったり、女性が活用されていたりするなどといっだ女性へのやさしざに着目して投資対象を選ぶSRI ファンドもある。
なお、SRIの観点から設定されたインデックス( 株価指数) もあり、欧米では人気を集めている。

環境会計

企業などが、事業活動で環境保全に投じたコストと、その活動によって得られた効果を認識し、できる限り定量的に測定、把握する仕組み。
企業の環境活動の結果として生じるメリットやデメリットを正しく把握し、環境対策を効率的かつ効果的なものにするための経営管理ツールである。CSR(企業の社会的責任) の浸透もあって、急速に普及している。

環境省の2006 年度調査によると、環境会計を既に導入している企業は3 割近くに達する。上場企業では約4 割が導入している。03年に閣議決定した循環型社会形成推進計画は、10 年度に上場企業の約半数と、非上場企業( 従業員500 人以上) の約3 割での環境会計の実施を目標としている。
環境会計には、大きく分けて内部管理向け機能と外部向け機能がある。内部管理向け機能は、環境保全コストの管理や、環境対策の費用対効果の分析などを可能にする。経営判断に生かせ、効果的な環境保全対策を促す。

外部向け機能は、環境保全への取り組みを定量的に測定する。結果を消費者や投資家、取引先などの利害関係者( マルチ・ステークホルダー)に開示し、意思決定に影響を与える。環境会計に関する情報は、環境・CSR報告書を通じて公表される。一方、企業のCSRに関する取り組みの実態を定量的に示すため、CSR指標やCSR会計を導火する企業もある。

環境省は02 年にガイドラインを公表した。05 年に改訂し、① 環境保全コストに応じた分類の提示、②環境パフォーマンス指標を参考にした環境保全効果の見直し、③環境保全対策に伴う経済効果の概念を再整理、④ 開示様式の体系化、⑤ 内部管理表の整理・見直し、⑥ 連結環境会計の取り扱いに関する考え方を提示- などの点を見直した。

環境会計は、項目やとらえ方などについて様々な立場や考え方があり、単純に比較しにくい。利用者の利便性を高めることが課題だ。

マテリアルフローコスト会計(MFCA)

工程に投入された資源を工程ごとに良品「正の製品」とロス「負の製品」に分け、それぞれ金額で表裳良品もロスも金額で表せるため、環境負荷の削減のために行動すべきターゲットが明確になる。

例えば、1000 円の原材料10kg と600 円の加工費が生産プロセスに投入され、8kg で1280 円の完成品征の製品) ができたとする。MFCAでは、生産プロセスの中で生じた2kg のロスは負の製品として320 円の価格が付く。このため、コストと資源の無駄が目に見えるようになる。これまでの伝統的な原価計算では、ロスの部分には価格が付かず、8kg の製品に1600 円の価格が付くだけだった。

原型となる手法はドイツのIMU( 環境経営研究所) が開発したが、生産現場の改善活動に熱心な日本企業で環境管理会計として進化した。MFCAは、2001 年から経済産業省の支援により、国内企業に対する導入プロジェクトが始まっている。07 年11月、経産省はMFCAを新規格として国際標準化機構(ISO) に提案した。環境管理会計の提案として世界初であるとともに、環境マネジメント分野では日本から初めての提案になった。

現在、キヤノン宇都宮工場のレンズ加工工程や日東電工の粘着テープ製造工程、田辺三菱製薬の医薬品製造工程などでM FCA が実用化されている。キヤノンでは、この会計手法の導入の結果、原材料口スの3 分の2 がレンズの荒研削工程で発生していることがわかり、原材料メーカーの協力のもとに研削量を約8 割削減した。

L C A( ライフサイクJレアセスメント)

製品の環境への負荷を、ライフサイクル全体にわたり、総合的、科学的、定量的、客観的に評価する手法のこと。製品のライフサイクルとは、原料の採取から、製造、流通、廃棄・リサイクルに至るすべての段階を指す。各段階の資源やエネルギーの消費、環境汚染物質や廃棄物の排出など環境への影響や負荷を評価する。

LCAを実施することで、事業者は製品のライフサイクル全体をとらえて商品設計や最適化設計できる。例えば、使用中はC02発生量が少ない製品でも、生産や廃棄の段階も合わせると環境負荷が大きいことがある。LCAの利点は、負荷削減と機能向上の両面で製品を評価できる点だ。環境負荷が発生する段階の客観的な認識が可能で、効果的に環境負荷を削減できる。

国際標準化機構(ISO) は、1997 年にLCAの一般原則を定めたIS014040 を規格化した。2000 年までにIS014041、IS014042、IS014043 の規格を発行し、日本は、同じ番号のJIS 規格を定めた。
LCAの一般的な実施段階であるインペントリ分析の手法は2つある。積み上げ法は、生産過程の各段階で使われた資源・エネルギーと、排出物を計算・集計して環境負荷を求める。産業連関法は、産業連関表で部門間の金額ベースのやり取りから特定製品の環境負荷を算定する。

欧米諸国などに製品を輸出する際にLCA評価が求められることもあり、日本でもLCAを導入する企業が増えている。キヤノンは、全製品ジャンルと事業活動を対象にLCAを実践し、環境情報の公開をしている。
三菱電機はグループでLCA評価技術を構築し、標準化している。

LCAには、企業が独自に算出する方法のほかに、エコリーフなど第三者機関の審査による「タイプⅢ環境ラペル」を取得する方法がある。企業や自治体が独自の環境ラベルを作り、消費者へLCAの認知と情報公開を努める事例も多い。

S R I(社会的責任投資)

利益を上げるだけではなく、環境や雇用など、社会に配慮した企業に積極的に投資しようという動きの総称。
「Sociall y R esponsible ln vestm ent」の略で、社会的責任投資と訳される。1920 年代に米国で始まったといわれる。高齢・少子化対策、地域社会との共生など、SRIの要素は幅広い。「S」を『S ustainabilit y( 持続可能性)」としてとらえ直す考え方もある。

経済性、環境適合性、社会適合性の3 つの側面で評価の高い企業の株式を組み入れた投資信託を、SRIファンドという。
企業評価の手法はいくつかある。一般的なのは、上場企業を、C SR( 企業の社会的責任) に強い調査機関の情報を基に一次選別する。その後、運用会社が財務面などから二次選別を行い、投資対象企業の母集団を選定する。その中から一定数の企業を組み入れる方法だ。SRI ファンドのうち、環境への貢献が高い企業の株式を組み入れた投資信託がエコファンドだ。国内では、99 年に日興エコファンドが初めて発売されて注目を集めた。国内のSRI、エコファンドなどを合わせると24種類ほどある。

日本のSRI 投資信託の資産残高は約2600 億円(2006 年3 月末時点) で、今後の拡大が期待される。
企業年金向けのSRI ファンドも順調だ。環境省の懇談会は、環境と金融に関する報告書を06年7 月に公表した。
SRI 促進のため、企業に投資判断に役立つ情報の開示や、運用主体としての取り組みの推進、CSRの深化などを求めている。
日本でSRI ファンドが今後伸びていく鍵として期待されるのが、公的年金基金のSRI に対する関心の高まりである。SRI 市場の拡大には、公的年金を含めた機関投資家に対して積極的に情報を提供する努力が欠かせない。

環境格付け

一般的に企業の格付けは、社債の返済能力を客観的な立場の第三者である格付け機関が評価して、わかりやすい方法でラン列寸けすることを指札これに対し環境格付けは、格付け機関が企業の環境経営への取り組みを独自の基準で評価し、取り組みの度合いに応じてランク付けすることを指している。

独自の環境格付けの結果に基づいて融資をするケースもある。日本政策投資銀行の「環境配慮型経営促進事業」は、融資の申し込みを受けた後、企業の環境配慮の度合いを独自の基準でスクリーニングして、格付けする。環境配慮の取り組み度合いに応じて金利が変わってくる。
一般的には、環境格付けが高い企業ほど利益率も高くなる傾向があるとされる。
その理由は、環境への取り組みが収益面でもプラスになっているから、あるいは収益が高い企業は、環境負荷削減に取り組む余裕があるから、という2通りの解釈がなされている

ファクター

圃環境活動が効率的に実施されているかどうかを示す指標を環境効率という。環境効率は、企業の生産量や売上高、売上総利益などの事業活動量を、C02排出などの環境負荷で割って求める。環境効率の値が大きくなるほと二その企業の環境経営は進んでいることになる。環境経営の進ちょく度合いを1つの指標で表せる利点がある。

環境効率を応用すれば、製品の環境性能も評価できる。 1991年にドイツのブッパタール研究所は、ある製品の環境効率が過去に比べて何倍向上したかを示す、「ファクターX」という指標を提唱した。「ファクター4」「ファクター10」といったように、倍率をファクターの後に付けて表す。国内でも環境経営の指標としてファクターを導入する企業が現れている。東芝、日立製作所、富士通、松下電器産業、三菱電機の5 社は2006 年11 月、エアコン、冷蔵庫など4 製品について指標の算出方法を統一し、消費者に理解を促している

CSR調達

CSR( 企業の社会的責任) は、環境への配慮や法令の順守など[ 企業が社会の一員として責任を果たす]という考え方。具体的な取り組みは広範に渡り、株主や従業員、顧客、取引先、地域住民などステークホルダーに対してだけでなく、社会全体の利益につながる行動にまで及んでいる。
1990 年代から欧米の主要企業を中心に部品や部材、原材料の調達先( サプライヤー)にもCSRを求める『CSR調達』の動きが広がった。その発端は発展途上国の労働環境や公正な貿易を求めた「フェアトレード」の意識に呼応したものだった。

事業活動のグローバル化か進み、生産委託先の労働環境の人権問題が製品のブランド価値に影響を与えた例もあり、調達先のCSRはリスク対策の観点からも重要になってきた。

自社と資本関係の無い取引先に一定の基準を求める難しさもあるが、グローバル化による消費者の意識の高まりや、株式市場でCSR対応を重視した投資先を選ぶ「社会的責任投資(SRI)」が増えるなとC SR 調達を後押しする情勢にある。
主要企業が連携してC SR 調達の基準項目の共有化と調達先のデータベース化を実現する取り組みも始まった。ソニー、IB M、マイクロソフト、フィリップスなど日米欧の22 社は、2007 年夏をめどに統一基準を作成し、調達先約4000 社のCSR 対応のデータベース化を始める。

中国に生産拠点を置く日本メーカーのC SR 調達も加速しそうだ。松下電器産業は中国内の調達先、約4200社に環境保護や人権尊重などのCSR 対応を求める調達契約を結ぶ方針だ。納入価格と品質だけで部品や資材の調達先を選ぶだけでなく、CSR 対応を見極めた調達先の選別が必要な時代となった。
一方で、メーカーにとっては調達コストの上昇も想定され、中小の調達先企業にとっては、取引先によって異なるC SR 項目への対応が迫られる場合もある。今後は主要企業の連携が期待される。


グリベノ調達/グリーン購入

グリーン購入は、消費者が品質や価格だけでなく、環境への配慮にも注目して製品やサービスを選択すること。購入の必要性や、使用後のリサイクルのしやすさなども考慮する。

グリーン調達は、企業や官公庁が環境負荷の低減に努める事業者から優先的に部品や備品などを調達することで、公共工事の発注なども含まれる。企業は環境に配慮した製品を競って製造・販売し、自主的取り組みの追い風になる。
政府は、公的機関などに率先してグリーン調達をすることなどを求めたグリーン購入法を、2000 年5 月に制定した。国などが基本方針を定め、グリーン購入の基本的な方向や品目について定めた。基本方針は06年2 月に改定され、木材・木材製品などの合法性の証明を追加した。

一方、法律とは別に、グリーン購入ネットワーク(GPN) は、「グリーン購入ガイドライン」を独自に決め公表している。このガイドラインは、環境面で考慮すべき事項を製品ごとに挙げており、08 年1 月時点で17分野について定めている。

GPNは、グリーン購入の取り組みを促進するために1996年2 月に設立した。企業、行政、消費者など様々な会員で構成している。

官公庁や企業では、IS014001 の認証や環境マネジメントシステム(EMS)を取得した事業者から優先して調達している。それに伴い、グリーン調達の要請で中小企業向け環境マネジメントシステムを取得する企業も増えている。取引先に環境対応を提案する中小企業もある。

企業の社会的責任( CSR) への取り組みを調達先に求めるCSR調達も広がりつつある。独自のグリーン調達基準を設けて、その達成状況などを環境報告書に記載する企業もある。
一方、環境省の調査によると、町や村など小規模な地方自治体におけるグリーン購入が遅れており、その推進が課題になっている。

環境効率

企業活動が環境負荷の側面からどのくらい効率的に行われているかを示す指標。英語では「ecoefficency(エコ・エフイシェンシー)」という。1992 年の地球サミットで提唱されて以来、環境経営の指標として注目され、活用されるようになった。従来は、生産効率の高さが経済成長の証しであるとされてきたが、環境負荷の増大の反省から考案されたものだ。環境効率は様々な指標があるが、よく使われるのが、生産量や売上高、売上総利益などの企業が生み出した付加価値をC02排出などの環境負荷で割って求める。

分子に売上高、分母にC0 2を使えば、C 0 2を1t 排出する際にどれだけの売り上げを上げたかがわかる。
C0 2のほか、廃棄物や排水など複数の環境負荷を独自の重み付けで統合化する場合ある。この値が大きいほど、その企業の環境経営は進展していることになる。

環境効率の利点は、経年比較することで環境経営の進ちょく度合いを定量的に把握し、外部にアピづレできることだ。
環境効率の目標値を設定して、社内の目標管理や社外への報告に用いる企業や、独自の手法や指標を開発する企業は多い。
2004 年10 月には、産業環境管理協会を事務局として日本環境効率フォーラムが設立された。
環境効率の向上を製品の評価に応用し、その改善度合いを目標値にする動きもある。基準となる製品の環境効率が過去に比べて何倍向上したかを示すもので、「ファクタ刊と呼ばれる。

ファクターには、計算方法が各社で異なり、考え方や仕組みがわかりにくく、消費者に伝わりにくいという
短所があった。
東芝など家電5社は、06 年11 月に一部製品についてファクターの計算方法を統一した。共通のファクターによって、異なる企業の製品の環境効率を比較できるようにすることが今後の課題だ。

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