経営・企業活動Ⅰ

環境報告ガイドライン

企業の環境報告書に記載することが望ましい項目をまとめたもの。環境省は2007 年6 月に「環境報告ガイドライン2007 年度版」を公表した。

07 年度版では、それまで使われてきた03 年度版を改め、新たに① 温暖化ガス排出量など主要な指標の一覧の導入、② 第三者審査など環境報告の信頼性向上に向けた方策の推奨、③ステークホルダー(利害関係者) の視点をより重視した環境報告の推奨、④金融のグリーン化の促進( 環境に配慮した投融資の促進)、⑤生物多楡F生の保全と生物資源の持続可能な利用の促進、といった内容を盛り込んだ。06 年に「第3次環境基本計画」が出され、国内企
業のCSR(企業の社会的責任) への関心が高まってきた。また、国際的に通用するサステナビリティ報告書作りを目指すNGO( 非政府組織)『GRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)」が06 年に新ガイドラインを公表したことなどを受けて、新しい視点を追加した環境報告ガイドラインを作成した。

環境報告書/CSRレポート

環境報告書は、企業などの事業者が環境への取り組みや、事業の環境負荷などを取りまとめたもので、IS014001
認証の普及などに伴い、環境パフォーマンスの評価手法、ツールとじて急速に広まった。環境省の調査によると、2006 年度は1049 社が環境報告書を発行している。多くの企業が報告書をウェブサイト上でも公表している。環境報告書には、環境保全方針や目標などを記載し、環境マネジメントシステム(EMS)や、法令順守の状況なども報告する。

CSRレポートは、労働や安全・衛生、社会貢献などCSR( 企業の社会的責任) 全般にかかわる取り組みをまとめる。持続可能性報告書( サステナビリティ・レポート)とも呼ぶ。

本誌が実施した04 ~06 年の調査を基にここ数年の傾向を見ると、報告書にCSRを前面に出す企業が増えている。社会性を盛り込んだものが多く、06 年では9 割に達した。

報告書でCSR調達など具体的な取り組みを紹介している企業も多い。企業価値の向上や経営基盤の強化にも役立つことから、マネジメント面からも期待されている。

一方、社会問題となったアスベストに関して記述している報告書が、06 年には64 %となり、前年の22 %から大幅に増えた。改正省エネ法や、EU( 欧州連合)で施行されたROHS指令に関する内容も増えた。また、SRI(社会的責任投資) について言及する報告書も多くなっている。CSRが投資の判断材料とされるため、投資対象に選ばれるかどうか関心が高まっているためだ。

環境報告書やCSR報告書は、より双方向性の高い内容が求められつつある。ステークホルダー( 利害関係者) との関係構築に活用する取り組みが広がっている。近年、ステークホルダーと企業の担当役員や社員などが対話するステークホルダー・ダイアログを報告書に載せる企業も増えてきた。

G R I(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)

GRI( グローバル・レポーティング・イニシアチブ) は、オランダに本拠を置くN G O( 非政府組織) である。国際的に通用するC SR( 企業の社会的責任) 報告書作りを推進し、報告書の作成に当たり、企業が留意すべ
きガイドラインを作成している。

GRIのガイドラインは、企業の経済、社会、環境に対する取り組みを報告書に盛り込むことを求めている。
具体的には、経済面については顧客やサプライヤー、従業員、出資者などの項目を挙げている。環境分野では原材料、エネルギー、水、生物多様性などを、また、社会面の労働慣行分野では労使関係、安全衛生、人権分野では差別対策、児童労働、社会分野では地域社会、政治献金などに着目するよう求めている。

日本でも、従来の環境報告書から、GRIガイドラインに基づくCSR 報告書に切り替える企業が増えている。2002 年にはGRIの普及を目指し、「G R 1日本フォーラム」( 後に「サステナビリティ日本フォーラム」に改称) が発足している。

トリプJレボトムライン

企業活動を経済面だけでなく、社会や環境に関する実績からも評価しようという考え方のこと。1997 年、英サスティナビリティ社のジョン・エルキントン氏が提唱した。

「ボトムライン」とは、企業の財務諸表における最後の行のことで、企業活動を通じて出た利益と損失の最終結果を意味する。エルキントン氏は、企業活動が持続可能であるためには、経済的側面に加えて、環境的、社会的側面も同様に重要であると主張する。企業は収支にかかわる情報のほかに、人権配慮や社会貢献などの社会性、資源の節約や汚染対策など環境面にも言及すべきであると指摘した。

具体的にはCSR( 企業の社会的責任) 報告書の中で、企業の経済的側面、社会的側面、そして環境的側面の3 つの側面について、何を述べるべきかを示している。GRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ) のガイドラインも、トリプルボトムラインの考え方にのっとってまとめられている。

環境配慮促進法

事業者と利害関係者( ステークホルタU) とのコミュニケーション手段として活用されている環境報告書の普及促進と、信頼性向上のための制度的な枠組みの整備を目的とする法律。

独立行政法人や国立大学などの特定事業者に、環境報告書の作成や公表を義務づける。民間の大企業には、環境報告書の公表など、自主的な環境配慮の取り組みに努めるよう求める。公表をする時は、主務大臣が定める記載事項に留意して報告書を作成する。

正式名称は、「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」で、2005 年4 月に施行された。法律名の中の環境情報の意味は、主に企業などが発行する環境報告書のことを指す。
同法は、一般の企業に具体的な規制を及ぼすものではない。また、企業の環境報告は、自主的な取り組みの域を出ない。しかし、CSR(企業の社会的責任)の普及などに伴い、企業に環境情報開示を求める気運が高まっている。
環境報告書の審査者に対しても、独立した立場で審査することや、公正で的確な審査に必要な体制整備に努めるよう求めている。

国は環境配慮の状況を毎年度公表しなくてはならず、地方自治体にも公表の努力義務がある。一方、事業者がほかの事業者に投資する時は、相手先の環境情報を重視する。さらに、国民にも投資の際に環境情報を重視するように促すら環境省は、環境報告書の記載事項として、主に次の事項を定めている。
① 事業活動に関する環境配慮の方針や基本理念、環境配慮計画と取り組み体制、取り組み状況
②主な事業内容、対象事業年度
③ 製品に関する環境配慮情報
記載事項の手引や、報告書の信頼吐向上のための自己評価の手引も公表している。

ISO14001

民間の国際組織である国際標準化機構(ISO、本部= スイス) が定めたIS014000 シリーズの中核となる規格。環境マネジメントシステムの仕様を定めた規格で、1996 年9 月に発行した。

策定の背景には、国際商工会議所( IC C) やE U(欧州連合) などで、事業者の環境マネジメントシステム構築の必要性を認識し( `いたことがある。92 年6 月の地球サミットで採択した「アジェンダ21」も、持続可能な開発のために民間企業など多様な主体の参加を求めていた。

IS014001 は、ISO 規格に洽って環境マネジメントシステムを構築する時に守るべき事項を定める。その基本構造が、「PD C A サイクル」だ。① 方針・計画(Plan)、② 実施と運用巾o)、③ 点検および是正処置( Check)、④ 経営層による見直し( A ction) の4つのプロセスを繰り返し実施して、システムを継続的に改善する。トップダウン型の管理を想定し、方針策定などに経営責任者の関与を求めている。

事業者がIS014001 による環境マネジメントシステムを構築した場合、それを自ら宣言する( 自己宣言)か、外部の機関から第三者認証を受けることができる。日本では、日本適合性認定協会( JAB)が民間の審査登録機関を認定する。審査登録機関が個々の事業所を審査する仕組みだ。JABによると、日本のIS014001の審査登録件数は2008 年1 月末時点で2万363 件となり、世界第1 位だ。

IS014001 は04 年11 月に8年ぶりに改訂し、法的要求事項などの順守を強化し、「順守評価」項目を新たに追加した。IS09001 との両立性や整合性も図った。IS09001 を同時に取得し、2つのマネジメントシステムを一本化するいわゆる「統合認証」を取得する企業も多い。

IS014001 は、08年に改訂する予定だ。ISO14000シリーズは、このほかに環境監査や環境パフォーマンス評価、環境ラペル、LCA(ライフサイクルアセスメント)などの規格がある。

C SR

C SR は「Corporate Social Responsibility」の略で、「企業の社会的責任」と訳すことが多い。企業は社会的な存在であり、利潤や経済的効率だけを追求するのではないとする考え方だ。国際標準化機構 (ISO)による規格化の動向を受けて、SR と呼ばれることもある。

法律の順守と社会的な倫理の尊重を重視し、多様な利害関係者( マルチ・ステークホルダL) の利益を考える。安全で良質な製品やサービスを提供するといった活動も実践していく。

日本企業のC S R の取り組みは、広がっている。日本経団連による2006 年度のC SR 実績調査では、社会貢献活動支出額の1 社平均は4 億5400 万円に上り、前年度に比べて約1 億円増加した。

C SR を企業の顔作りの戦略要素と位置付ける日本コカ・コーラのように、C S R や環境活動でブランドカの強化を狙う企業も多い。C S R への取り組みを部品や原材料などの調達先企業にも求める、C SR 調達の動きも広がっている。新銀行東京の「環境・CSR 応援団」のように意欲のある中小企業向けに低金利融資をする金融商品も増えた。三菱東京U FJ、滋賀、住友信託などの銀行も実施している。

CSR は欧州から始まった。EU( 欧州連合) 理事会は、02 年7 月に公表した報告「企業の社会的責任一持続的な発展への企業貢献」で、CSR の国際的重要性を認めている。企業のC SR に関する情報公開などについての指針も示した。欧米では、C SR や「トリプルボトムライン」の考え方を徹底しながら、利益を上げている企業が多く存在する。
メセナやフィランソロピーなど日本で行われてきた企業による社会貢献活動は、C SR と重複する部分も多い。ただ、C SR は企業自らが社会に対して責任を負う「企業市民」として行動すべきであるとする点で大き
ぐ異なる。企業と何らかの利害関係を有する主体すべてをステークホルダL ととらえ、コミュニケーションを充
実することも重要だ。

ステークホルダー

組織をとりまく利害関係者のこと。企業などの組織は、事業活動をする上で、様々なステークホルタしと利害関係を持っている。そのため、ステークホルダ―との信頼関係の構築は、組織の持続的な発展の上で不可欠な要素である。
経済産業省は、環境パフォーマンス指標を定めたなかで、ステークホルダーを次のように分類している。
① 従業員、② 投資家、③ 取引先、④ 請負業者、⑤ 金融機関、⑥ 環境法規制の関連団体など⑦ 地域住民、
⑧ マスコミ、⑨ 行政、⑩NGO(非政府組織) 、グリーンコンシューマー、⑩ 一般市民・消費者。

環境省は2007 年版の「環境報告ガイドライン」を07年6月にまとめた。07 年版のポイントの1 つが、ステークホルダーの視点をより重視した環境報告を推奨していることだ。その中で、環境報告書の基本的機能の1つとして、ステークホルダU の判断に影響を与える有用な情報を提供することを挙げている。

社会的な取り組みについて記載する場合は、環境保全項目だけでなくステークホルダーとの関係が重要であると指摘。地域固有の文化的・歴史的背景を踏まえて、様々なステークホルダーと意見交換をすることを求めている。

ステークホルダーと双方向の交流を図るための手法として、対話型の集会である「ステークホルダー・ダイアログ」が活用されている。あえてN P O( 非営利組織) や消費者などのステークホルダこの厳しい意見に向き合う企業もある。
適正な環境報告を推進するN G O( 非政府組織)のGRI( グローバル・レポーティング・イニシアチブ) は、06
年公表の新ガイドラインで「ステークホルダー・エングージメント」を推奨する。

ステークホルダーの意見を反映させた経営目標を、企業が約束( エングージメント) として位置付ける。企業はそれを果たすための計画を策定し、実行に移丸イトーヨーカ堂や損保ジャパンなどが、CSR( 企業の社会的責任) の一環として導入している。

ステークホルダー・ダイアログ

企業が消費者やNPO( 非営利組織) 、投資家、地域住民などなんらかの利害関係のある人々と対話すること。ステークホルダー( 利害関係者)・ミーティングと呼ぶこともある。

企業のコミュニケーションの手段として環境報告書やCSR(企業の社会的責任) 報告書が作成されるようになったが、こうした手法では企業からの一方通行の伝達に終わってしまう。この数年、双方向のコミュニケーションの手段としてステークホルダー・ダイアログを取り入れる企業が増えている。

だが、多くの企業では環境報告書やCSR報告書をステークホルダーに読んでもらい、その感想を次回の報告書作りに生かすという程度の取り組みに留まっている。国際的に通用するサステナビリティ報告書作りを目指すNGO( 非政府組織) のGRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ) は、2006 年公表の新ガイドラインで、より踏み込んだステークホルダーの参画を求めている。

グローバルコンタクト

1999 年1 月、各国から政府首脳・閣僚、財界リーダーなどが集まりスイス・ダボスで開催した「世界経済フォーラム(ダボス会議)」で、当時のコフィ・アナン国連事務総長が提唱した協定のこと。企業の国際化・国際進出が進んだことで起こりかねない様々な問題を解決するため、企業が人権、労働、環境分野の10原則を守ることを目指丸
2000 年7 月に米ニューヨークの国連本部を拠点として発足した。世界各地の多くの企業や労働組合、市民社会組織が参加する。日本からは50 以上の企業のほか、川崎市が参加している。

10 原則では労働者の人権保護、組合結成の自由や児童労働の廃止など労働環境の向上、環境配慮の促進、わいろや強要など様々な形の「腐敗」の防止をうたっている。

10 原則の実現のため、政策対話や活動に関する情報の共有・学習、国・地域間のネットワーク作り、協同プロジェクトを進める。

グリーン金融( 環境金融)

企業の環境経営を支援する金融のこと。そのための投資や融資、商品など関連する仕組みの総称として用いられることもある。
欧米では1980 年代から、SRI( 社会的責任投資)ファンドの浸透や、NGO(非政府組織) の取り組みなどが相まって、急速に拡大した。

日本では、日本政策投資銀行による環境配慮融資などがあった。しかし、グリーン金融の主役は、政府系から民間金融機関に移りつつある。
その先駆けとなったのが、98 年の滋賀銀行による日本初の環境融資制度の創設だ。その後、みずほコーポレート銀行が2003 年に邦銀で初めて「赤道原則( エクエーター原則)」を採択した。同原則は、プロジェクト・ファイナンス(金融機関が事業の収益性に担保価値を見い出して貸す無担保融資) を実施するに当たっての民間銀行共通の環境配慮基準である。

三菱東京UFJ銀行は、06 年9 月にプロジェクト環境室を設置した。プロジェクト・ファイナンス案件の環境や社会への影響などを、赤道原則に沿って確認、評価、管理する。

地方銀行による地場産業支援は、IS014001 認証の取得支援から、環境経営の後押しに拡大しつつある。東京都や大阪府、宮城県など自治体の取り組みも盛んだ。東京都の「環境金融プロジェクト」には、商工中金など約20 の金融機関(08 年1 月末時点) が参加している。

グリーン金融の普及には、市民が企業を環境活動の面からも評価していくことが大切だ。環境配慮促進法は。環境情報を参考に投資することを国民に促している。一方、環境に配慮した事業などを、定量的な「価値」に置き換える動きも広がっている。グリーン電力、排出権、エコポイントやエコマネーなどだ。
JTBとソニーは、消費者向けのグリーン電力証書を発売した。旅行や携帯電話の充電など、小額分のグリーン電力を変える商品で、一般消費者でも簡単に買える点が魅力だ。

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