地球温暖化対策Ⅱ

COP、COR/MOP

COPとは、国際条約の「締約国会議」の略称。
地球温暖化防止のための「国連気候変動枠組み条約」のC O P がよく知られている。同条約の締約国の中でも特に京都議定書の締約国による会議を、C O P /M O P と呼ぶ。これは、「C onference oft
he Partie s serving as t he m eeting of thePartie s」の略称である。米国は、京都議定書に批准していないのでC O P/ M O P には参加していない。

2005 年11 月にカナダ・モントリオールでCOP11 とC O P/MOP1 を同時に開催し、C O P 7で策定した「マ
ラケシュ合意」を採択した。ポスト京都議定書に関する議論の進め方や、第1 約束期間の削減目標不履行時の措置などの運用ルールを確立し、京都議定書は完成を見た。

06 年11 月にケニア・ナイロビで開催したC O P 12は、1 3 年以降の温暖化対策として、0 8 年末のC O P/ M O P 4での議定書見直しなどが決まった。07年12 月には、C O P 13とC O P /M O P 3がインドネシアのバリで同時に開かれた。バリ会議で、議論を先送りしていた、第2 約束期間(13 年から)における温暖化
対策の枠組み交渉を開始するかどうかが最大の争点になった。

バリ会議の成果、決定事項としては主に次のものがある。
①13 年以降の枠組みについて、条約の下に新たな検討の場( 特別作業部会= AWG)を立ち上げ、09 年までに作業を終了する(バリ・ロードマップ) 。
②京都議定書の第2 回目見直しは対象項目を限定しない形で実施する。
③ 途上国問題について、適応基金の理事会やプロジェクトの実施に関する事項などを決める。

決定事項の中のバリ・ロードマップは、今後の交渉の進め方を示す行程表を指礼合意に際して、米国の姿勢が消極的であると各国から批判された。COP14とCOP/MOP4 は、08 年12 月にポーランドで開く。

CO2隔離貯留( CCS)

火力発電所や工場などの大規模排出源からCO2を分離して回収し、液化・ガス化して地層や海中に貯留する技術。
C C S は「C arb on D ioxide C apt ure an dSt orag e」の略で、C02回収・固定とも呼ばれる。

IP C C( 気候変動に関する政府間パネル) は、2005 年9月に公表した特別報告書で、C C S を「大気中の温暖化ガス濃度を安定化させる主要な対策の一つ」と位置付けた。C C S は、京都議定書締約国会議( C O P/ M O P)の論点の1 つだ。

0 6 年1 1 月にケニアのナイロビで開催されたC O P /M O P 2 では、C C S によるC 02削減事業を
CD M( クリーン開発メカニズム) として認めるかどうかで意見が分かれた。技術の完成度や、各国でルールや規制が整備されていない点、環境への影響が不確かな点などが懸念材料だ。

同会合では結論が見送られ、07 年12 月にインドネシアのバリ島で開かれたcoP/MoP3で、ccsに関する検討スケジュールが決まった。08年のcoPyMoP4で、cDM 事業として認めるかどうかについて再度議論する。

国内では、海洋でのccsを可能にするため、海洋汚染等防止法が07 年5 月に改正され、ccsに関する許可制度が創設された( 同年n 月に施行) 。
ccsに関するプロジェクトは、欧米諸国や産油国などで商業、研究ベースで進められている。日本では、地球環境産業技術研究機構( R工TE) が技術開発やデータベ・一一スの構築を行っている。

ccsめ実施に向けて、主に次の課題がある。① 環境影響評価や監視システムの構築、② 有効性の評価、③ コスト削減、④ 分離・回収、輸送、貯留・隔離技術の開発、⑤ 貯留・隔離地点の選択、⑥ 国際的な合意や国民の理罰’ などだ。

ccsは化石燃料の消費をかえって増長しかねないとして、本質的な温暖化対策ではないとの批判もある。

省エネ法

正式名称をにnネルギーの使用の合理化に関する法律」と言い、1979 年6 月に制定された。2度の石油危機を反省し、エネルギーを節減する「省エネルギ刊を進めることが目的だ。温暖化ガスの排出を抑制するための措置を具体的に規定し、個別の産業や事業者の取り組みを促丸規制分野は主に、① 工場・事業場、② エ和レギー消費機器、③ 住宅・建築物、④ 運輸部門の4 つだ。エネルギー使用量が大きい工場やオフィス、病院などの事業場では、専門家を置いて省エネを進め、その成果を定期的に報告させる。現在は大型施設のみが対象だが、国は同法を2008 年春に改正し、事業所ごとから事業者ごとの規制に移行する考えだ。コンビニエンスストアやファミリーレストランなどの店舗にも網がかかるようになる。

電気製品や自動車などの機器については、エネルギー消費効率の基準を設定するなどして省エネを促している。基準の設定にはトップランナー方式を採用。
21 品目の特定機器について、商品化されている中で省エネ性能が最も高い製品と同等の効率を所定の期限までに達成することを求める。

07 年11 月、トップランナー方式関連の省令と告示などが改正され、① 地上波デジタル放送対応のDVDレコーダー、② 紙容器、③ カップ式飲料の自動販売機が特定機種に加えられた。
一定規模以上の住宅や建築物については、新・増改築の際に省エネ性の高い設計や設備の導入と都道府県への届け出義務を課している。さらに届け出た内容について、省エネ性能を保つための維持・保全の状況を3 年ごとに報告することも求める。

運輸については、多くの車両を持つ輸送事業者や輸送量が多い荷主企業は省エネ計画を作り、その結果を定期的に報告する義務を負う。
このうちエネルギー消費機器に関するトップランナー方式と、運輸分野における荷主規制は世界にも例がない。

温暖化対策推進法

温暖化対策推進法は、正式名称を「地球温暖化対策の推進に関する法律」と言い、温対法ともいう。1998年10 月に成立し、99 年4 月に施行した。
国連気候変動枠組み条約の京都議定書は、日本に基準年(C02は90 年度) 比で6 %の温暖化ガスの削減を義務づけている。京都議定書の約束を達成するための計画を策定、推進することなどがこの法律の目的だ。社会経済活動などに伴う温暖化ガスの排出を抑制するための措置を定める。

地方自治体、事業者、国民の責務と役割を明らかにし、温暖化対策に取り組む枠組みを定める。政府による実行計画の策定など、温暖化ガスの排出抑制のための施策も定めている。

同法は2002 年、日本が京都議定書を締結したのを受けて改正した。日本の温暖化対策をまとめた「京都議定書目標達成計画」の策定などを盛り込んでいる。目標達成計画は、改正前にあった「地球温暖化対策推進大綱」を下敷きに05 年に閣議決定した。06年と08 年に一部を改正した。

05 年の京都議定書発効を受けた改正では、工場などの事業者による温暖化ガス排出量の算定・報告・公表制度を導入した。政府が同年にまとめた京都議定書目標達成計画を着実に進める上での国内対策の柱の1つで、06 年4 月に施行した。

事業者は、毎年6月末までに前年度の排出量を所管省庁に報告する。「エネルギーの使用の合理化に関する法律」( 省エネ法) に基づくエネルギー使用量の報告義務を負う事業者が対象だ。省エネ法に基づく報告を温暖化対策推進法の報告と見なし、年間3000t以上(エネルギー起源C02を除く)の温暖化ガスを排出する事業者も対象となる。
06 年2 月には、京都メカニズムの活用を促進するための改正をした。京都メカニズムによる削減量の取得、保有、移転の記録に必要な割り当て量口座簿の整備や、クレジット取引の安全確保などの規定を整備した。07年3 月に施行した。

京都議定書目標達成計画

日本が京都議定書で定められた目標を達成するために、政府がまとめた温暖化対策の計画。2005 年、地球温暖化対策の推進に関する法律( 温暖化対策推進法) に基づき、国務大臣で構成する地球温暖化対策推進本部( 本部長は首相) が策定し、同年4月に閣議決定した。「目標達成計画」や「目達」とも呼ばれる。1998 年に策定され02 年に改定された「地球温暖化対策推進大綱」を下敷きにしている。

京都議定書の目標達成を目的とするため、第1 約束期間終了後の温暖化対策については直接的には触れていない。様々な取り組みを掲げているものの、実行に関しては政府や自治体、企業や国民に委ねられている。

環境省と経済産業省が中心になり、06 年末~07 年を通じて目標達成計画の進ちょく評価と内容の見直しを進めた。京都議定書の第1 約束期間が始まった08年には、新・京都議定書目標達成計画が策定され、閣議決定した

環境自主行動計画

日本経済団体連合会が温暖化対策と廃棄物対策に取り組むため、自主的にまとめた行動計画のこと。自主行動計画とも呼ばれる。
経団連は1991 年に作成した「経団連地球環境憲章」で、環境保全に自主的に取り組むことを宣言した。

その後、96 年7 月、温暖化対策や循環型社会の構築のための具体的な取り組みをまとめた「経団連環境アピール」を発表。97年6 月、この環境アピールにのっとり、各業界団体に自主行動計画をまとめて発表した。

製造業からエネルギー産業、流通、運輸など幅広い業種が自主行動計画を策定している。温暖化対策については、2010 年度に産業部門とエネルギー転換部門からのC02排出量を90 年度レベル以下に抑制するよう努力するため、各業界がC02を中心に温暖化ガス削減の数値目標を掲げている。

98 年からは、毎年、計画の進ちょくを評価するレビューを実施してきた。さらに、経済産業省が進ちょくを点検する「フォローアップ」を毎年実施する。06年度には、経済産業省による製造・エネルギー転換部門のフォローアップに環境省も参加した。

自主行動計画は、産業界の自主的な取り組みとされてはいるものの、日本政府の温暖化対策上は1つの制度として位置付けられているという側面もある。具体的には、05 年4月に閣議決定された、日本が京都議定書の目標を達成するための対策をまとめた「京都議定書目標達成計画」に盛り込まれている。08 年2 月に発表した目標達成計画の改正案では。フォローアップが「評価・検証制度」と名前を変え、規制色が強められた。

また、02 年に板硝子協会が目標引き上げに踏み切ったのを皮切りに、05 年度は日本製紙連合会、06年度には電機・電子4 団体など8 業界、07 年度は経産省所轄分だけでも18 業界が目標を引き上げた。このような動きの背景には、京都議定書の第1 約束期間開始を目前に、経産省による目標強化への強い働きかけがあった。

UETS( 欧州排出権取引制度)

EU(欧州連合) 独自の排出権取引制度( ETS)のこと。現在、EU加盟25 力国にある約1 万1000 ヵ所の発電設備やボイラー、生産設備などの施設が対象に指定されている。それぞれの施設に対してC02の排出枠( キャップ) が設定され、実際の排出量が排出枠を下回った場合は余った排出枠を「排出権」として排出枠を上回るC02を排出している企業に売却できる。

現在、EU ETSの規制対象は大規模な排出源からのC02に限られ、京都議定書が規制対象と定めた温暖化ガス排出量の半分程度とみられる。
2005 ~07 年までの第1 期間は、国内排出量割当計画(NAP)に参加する対象企業や施設のC02排出枠の割当量が大目に設定され、温暖化ガスの排出削減という目標に逆行するとの批判が出ている。しかし、EU ETSが国際的な排出権取引に弾みを付けた成果は否定できない。05年の全世界の排出権取引総額は約110 億ドル( 約1 兆3000 億円) から2006年には2.5 倍の約280 億ドル( 約3 兆3000 億円)に急増し、その内訳はEU ETSを通じた排出権取引が4分の3 を占めている。

企業にとって排出権取引制度のメリットは、温暖化ガスの削減や省エネ対策につながる設備投資を推進しやすいタイミングを見計らって、削減量の余裕分を売却できること。そして設備投資費用の負担が大きい時は、「排出権の調達」という削減手段を選べることだ。そのようなメリットを生かすためにも、排出権取引市場の価格の安定が望ましいが、06 年のEU ETSのC021t 当たりの価格は約6 ~30 ユーロまで乱高下した。排出権が投機対象となる懸念もぬぐい切れない。EU ETSは第1 期間に明らかとなった課題を踏まえて、第2 期間(08 ~12 年) のNAPの交渉が進められている。日本で05 年に始まった「自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)」は、参加企業が自主的にC02削減目標を設定する制度。08 年から始まる京都議定書が定めた国際排出権取引とEUETS、JVETSはそれぞれ独立した異なる制度だ。

RGGI(地域温室効果ガス・イニシアティブ)

ニューヨーク州など米北東部の州政府を中心に制度設計を進めている、この地域独自の排出権取引制度。大規模発電所から排出されたC 02が対象で、キャップ・アンド・トレード方式を採用する。連邦政府の政策とは関係の無い州政府独自の制度である。

2008 年1 月時点ではコネチカット、デラウェア、ニュージャージー、ニューハンプシャー、ニューヨーク、バーモント、マサチューセッツ、メイン、メリーランド、ロードアイランドが参加する。発効は09 年1 月1 日の予定で、09 ~14 年にC02排出量を1990 年レベルにする目標を設定している。

省エネや森林再生プロジェクトを実施すると発行される排出権を購入して、排出を相殺( オフセット) することもできる。原則として米国内のプロジェクトが対象だが、R GGI内で売買取引される排出権価格が1t 当たり10ドルを超えると、EU( 欧州連合) の排出権取引制度( E U E T S)やCD M( クリーン開発メカニズム)の排出権も使える制度になりそうだ。

炭素税

C02の排出を抑制するため、経済的手法を用いた環境対策の1つ。燃焼するとC02を発生する化石燃料の使用に対して課税する。1990 年のフィンランドでの導入後、北欧諸国や英国、ドイツなどが同様の税を導入じ( いる。
同じ経済的手法である排出権取引などに比べ、制度設計と実施にかかる行政コストが安く、企業だけでなく消費者まで制度の対象になる。

日本では環境省が「環境税」と称し、導入を提案している。環境省が2005 年10 月に提案した内容によると、家庭やオフィスで使う灯油などのほか、工場や発電設備などで使う石炭や天然ガス、重油などの化石燃料の利用を課税の対象としている。税率は、燃料を燃焼した時に排出される炭素1t 当たり2400 円。家計の負担は1 世帯当たり額約180 円となる計算だ。税収を森林整備や自然エネルギーの導入支援などの温暖化対策に使うことで、一層のC02の排出削減を目指す

環境配慮契約法

国や独立行政法人などが契約を締結する際に、価格だけでなく、温暖化ガス排出量の削減など環境に配慮することを求めた法律。2007 年11 月に施行された。正式名称は、「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」。

国の機関や地方自治体などに環境に配慮した契約(グリーン契約)を求める法律は世界でも珍しい。
同法は、①電気の購入、② 公用車の購入、③ 省エネ支援サービス(ESCO) 事業、④庁舎の設計などに関する契約を対象とする。
グリーン契約の締結実績については、各省庁などの長により、毎会計年度終了後に概要が公表され、環境大臣に通知される。環境大臣はこれを受けて、必要な措置を要請できる。

同法で推進されるESCO事業とは、ビルや工場の省エネに必要な技術、設備、人材、資金などのすべてを包括的に提供するサービスのことである。これまで財政法で国の支出に伴う契約行為は5年以内とされており、7 ~8 年契約が多いESCO事業の契約は難しかった。そこで契約期間を10 年以内に延長してESCO事業を容易にした。

同年12 月には同法に基づく基本方針が公布され、グリーン契約における留意事項などが示された。国や独立行政法人は、今後、この方針に従ってグリーン契約の推進に努める。地方自治体にも努力義務を課す国などは、C02排出原単位のより低い電力を購入する。温暖化ガス「排出係数」が一定以下であることを入札資格とし、その中で最も価格が低い業者が落札する「すそ切り方式」を採用する。

公用車については、燃費などの環境性能を考慮した評価点と入札価格を基に総合的に評価する。また、ESCO事業の効果的な活用を図るため、設備を更新する場合の考え方を整理した。
さらに、建築面では庁舎の新築や大規模改修に当たり、設計者の能力を評価して契約することを求めている

カーボンニュートラル

植物は、太陽エネルギーを取り入れ体内で水とC02(カーボン)から組織を生成する「光合成」によって生育する。そのため植物内に大気中の炭素が“貯金” されていると見なし、植物を燃やして炭素が排出されたとしても、生育時に吸収した炭素が大気に戻るだけなので、炭素排出の収支はゼロ(ニュートラル)になる。

これが「カーボンニュートラル」の概念だが、元々は京都議定書などで温暖化ガスの排出量削減に「CO2の森林吸収」を筧入する議論との関連で、広く一般に使われるようになった言葉だ。
適正に管理された植林や森林の育成( 育林) を経て伐採した木材は、カーボンの吸収量個定量) のおおよその算出が可能であり、伐採後に建材やパルプなどの製品となり、最終的に焼却した際のカーボン排出量との収支も比較的把握しやすい。

狭義の「カーボンニュートラル」は適正に管理された森林資源の活用を促す考えだったが、近年は植物バイオマスの分野で幅広く使われている。穀物を原料とするバイオ燃料や植物性プラスチック、さらに生ゴミなどの発酵により得られるメタンガスも「カーボンニュートラル」が使われている。

最近では、企業などの事業活動で排出されるC0 2量に相当するC0 2を、自然エネルギーの利用や適切な地域の植林活動などにより相殺する取り組みを「カーボンニュートラル」とする動きが目立つ。07 年には、「グリーン電力証書」を購入し、カーボンニュートラルな株主総会を実現した企業も出てきた。これは企業活動にとどまらず、例えば2006 年にドイツで開催されたサッカーのワールドカップは、大会全体で約10 万t と見込んだC02排出量に匹敵する自然エネルギーの利用や温暖化対策事業への投資により、カーボンニュートラルの実現を目指したという。
一方で、科学者の中には石油などの化石資源も数千万年も昔のC 0 2を固定したもので、それを燃やすことも「炭素循環」に含まれるため、カーボンニュートラルは管理可能な植物に限る概念とする意見もある。

カーボンオフセット

C02などの温暖化ガスの排出を相殺すること。排出を相殺するために省エネなどの削減対策を進めたり、自然エネルギーを活用したり、植物を植えて大気中のC 0 2を吸収・固定したりするなどの方法が活用されている。企業などが、自らこうした行動をするほか、CD M( クリーン開発メカニズム) などの排出権や、自然エネルギー証書を購入してカーボンオフセットを進める活動も盛んである。

排出した温暖化ガスの相殺は、京都議定書の下、削減義務を負う先進国が進めている。また、E U( 欧州連合) の排出権取引制度( E U ET S) の下で削減義務を負う企業が、省エネや自然エネルギーの活用などの排出削減プロジェクトを実施するほか、域内で流通する排出権で相殺を進めている。日本では企業や国民に削減が義務づけられてはいないものの、企業が自社の温暖化ガス削減目標の達成やC SR( 企業の社会的責任) を果たすために、自主的に排出の相殺を進める動きが活発化している。

カーボンディスクロージヤプロジェクト

「カーボンディスクロージャープロジェクト( CDP)」はその名の通り、企業活動のうち「炭素」にかかわる
情報の公開を進めるためのプロジェクトである。世界有数の金融機関が、株式時価総額のトップ500 社
(FT500) などに対しアンケート調査を実施し、温暖化対策にどのように取り組んでいるかについて回答を
求める。C D P 事務局は、回答を収集しひ般に公開する。

2003 年に第1 回の調査を実施して以降、署名する金融機関が増えている。07 年の第5 回調査では315社に拡大し、総運用資産は41 兆ドルに達した。日本からも損害保険ジャパン、三菱UFJフィナンシャルグループなど14 機関が参加している。
アンケート送付企業数も増え、第5回調査は2400社に膨らみ、150 の日本企業に送付された。C DP 事務局は各社の回答に基づき、開示に積極的な企業を「気候変動対策公表先進企業」として選出。日本からはリコーやトヨタ自動車などを選出している。

モータルシフト

より環境負荷の少ない交通手段に切り替えること。
具体的には、輸送手段の一部をトラックから鉄道や船舶による海上輸送に転換し、C02排出削減など物流における省エネを目指す考え方を指丸2006 年4 月施行の改正省エネ法では、荷主の省エネ目標とモーダルシフトなど省エネ措置( 取り組み) の報告を義務づけた。

対象となる荷主は、発注する貨物の輸送量が3000万トンキロ( 輸送重量=t x輸送距離=km) 以上の事業者で、エネルギー消費原単位を年率1 %低減させることを目標としている。荷主自ら省エネ計画を作り、計画書の提出と委託輸送にかかるエネルギー消費量の報告をする。

トヨタ自動車は06 年11 月から専用のJR 貨物列車による貨物輸送をスタートさせた。愛知県で製造した自動車部品到R名古屋南貨物駅から盛岡貨物ターミナル駅まで運び、関東自動車工業の盛岡工場( 岩手県) で組み立てる。両駅の区間距離は約900km、貨車20 両編成に40 台のコンテナを載せ、年に224 日の運行を予定訃ヨタはトラック輸送に比べ、年間約7000tのC0 2削減になると見込んでいる。

1t の荷物を1km 輸送するエネルギー消費量は、鉄道に対し営業用トラックが約5 倍、自家用トラックは約20
倍、平均したトラックのC0 2排出量は10 倍程度とみられている。しかし、陸上の貨物輸送に占める鉄道の割合は自動車の1 % にすぎない。
長距離になると鉄道輸送の割合が増え、500km を超える貨物の30 ~40 % が鉄道で輸送される。距離が伸びると運賃や速度の面で鉄道のメリットが大きくなるからだ。国は長距離貨物輸送について、鉄道と船舶のシェアを現在の40 % から10 年までに約50 % に増やすことを目標としている。

モーダルシフトの概念を一般消費者の物流に導入するトモーダルセレクト」の取り組みも始まった。例えば鉄道で輸送した商品に「土コレールマーク」というラベルを張り、消費者の環境意識に訴える制度などだ。

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