地球温暖化対策Ⅰ

キャップ・アンド・トレード

温暖化ガス削減のための対策として、排出権耶という制度がある。「キャップ・アンド・トレード」は、出権取引制度の方式の1 つである。
この方式では政府などが、国や企業など制度の対象者の総排出量( キャッ戈総排出枠とも呼ぶ)を定めた後、対象者に排出量( 排出枠) を配分する、対象者は割り当てられた排出量よりも温暖化ガスの排出実績を抑える必要があるが、抑えられない場合かの対象者が余らせた排出量( 排出枠) を売買(トレード) して超過分を相殺できる。
E U( 欧州連合) で2005 年1 月に導入された欧りヽ出権取引制度( EU ET S) もキャップ・アンド・トレ方式を採用している。E U 加盟国政府が自国の糸出量を定めた後、制度の対象である一定規模以の発電・熱供給設備や生産設備に排出量を割り当てている。
なお、排出権取引制度の方式としてはほかにトスライン・クレジット」方式がある。

温暖化ガス( 温室効果ガス)

大気中のC02やメタンなどのガスは太陽からの熱を地球に封じ込め、地表を暖める働き(温室効果) がある。こうした働きをするガスを、温暖化ガス(温室効果ガス)と呼ぶ。

地球が生物のすめる温暖な気候に保たれているのは、大気中に温暖化ガスが含まれているからである。
地表面は太陽光で温められている一方で、同時に宇宙に向けて熱( 赤外線) を逃がしている。温暖化ガスはこの赤外線の一部を吸収して下向きに放出するため、地表や大気に熱がたまる。
現在の地球の平均気温は約15 ℃だが、温暖化ガスが無かったとすると、-18 ℃程度の極寒の星になることがわかっている。

18 世紀の産業革命後、人間の活動に伴って発生したC02やメタンのほか、人工的に生産されたハロカーボン類などの温暖化ガスが増えた。その結果、それまで均衡が取れていた赤外線吸収量と宇宙への放熱量の収支が崩れる一因になり、地上気温を上昇させたとされている。

国連の下部組織、気候変動に関する政府間パネル(IP CC) の第4 次評価報告書によれば、人為起源の温暖化ガスのうち、6 割程度がC 0 2、2 割程度がメタン、残りが一酸化二窒素( N20) やフロン類などとなっている。この報告書によると、人為起源の温暖化ガスが地球温暖化の原因であると、ほぼ断定できるという。

京都議定書ではC02、メタン、N2 〇、六フツ化硫黄(SF6) 、ハイドロフルオロカーボン類( H F CS)、パーフルオロカーボン類( PF CS)の6ガスを削減の対象に指定。日本でも地球温暖化対策の推進に関する法律( 温暖化対策推進法) で、同じ6 ガスを温暖化ガスに指定している。メタンはC0 2よりも温室効果が高く、100年の間にC0 2に比べて25 倍の温室効果を発揮する。同様にN 20 は298 倍、SF6 に至っては2 万2800倍もある。ほかのフロン類もC02に比べて、数百~1 万倍もの温室効果を持つ。

CO2排出係数

電力のC02排出係数とは、1kWh の電力を発電する際に排出されるC02の量を示す値のこと。燃料として使う一次エネルギーの種類によって値は異なる。石炭や天然ガス、石油などの化石燃料を使って発電するとC02を排出するが、風力や太陽光、水力などの自然エネルギー、そして原子力発電は発電時にC02を排出しない。

そのため、電力会社が異なる燃料を使う発電所を複数所有している場合、総発電量に占める火力発電の割合が高ければC02排出係数は大きくなり、原子力発電や自然エネルギーの割合が高ければ、C02排出係数は小さくなる。
日本では2006 年4 月、一定量以上の温暖化ガスを排出する工場やオフィスビルなどの事業所に対し、温暖化ガス排出量の算出と報告を義務づける「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」が始まった。事業所が電力会社や「特定規模電気事業者( PPS)」と呼ぶ電力小売りから購入した電力を使うと、発電時に排出したC02は、事業所が間接的に排出したものとみなされる。そこで事業者は、「C02排出係数×使用電力量」という式に当てはめ、使った電力量に応じたC02排出量を算出する。

ただし、この計算には全発電所のC02排出係数の平均値( デフォルト値) のほかに、各電力会社の実測値も使える。
例えば風力やバイオマス( 生物資源) による発電を多用する省エネ支援のファーストエスコが06 年度に供給した電力のC02排出係数は、1kWh 当たり0.309kgになる。一方、原子力発電の割合が高い関西電力は同0.358kg で、デフォルト値( 同0.555kg) より下回る。

この2社から電力を購入した事業所は、電力会社ごとのC02排出係数を使った方が実測に近いC02排出量を算出できる上、値が小さくなる。こうしたケースでは、事業者はC02排出量の計算時に、電力会社別のC02排出係数を使ってもよいことになっている。

京都議定書/京都メカニズム

京都議定書は「国連気候変動枠組み条約」の目的や原則を踏まえ、削減目標や達成期限を定めた法的拘束力のある国際協定。
1997 年12 月に京都で開いた地球温暖化防止京都会議( C O P3) で合意した125 力国・地域が批准し、2005
年2 月16 日に発効した。

94 年に発効した条約で、先進国は温暖化ガス排出量を00 年までに90 年の水準まで戻すよう合意したが、法的拘束力は無く、排出量は増加した。温暖化ガスとは、地球温暖化の原因物質である大気中のC0 2、メタン、一酸化二窒素( N 20) 、HF CS、PF CS、SF6 などだ。

京都議定書は、先進国は第1 約束期間(08 ~12年) の間に基準年比( C 0 2、メタン、N 20 は90 年、HF CS、PF C S、SF6 は95 年比でも可) で温暖化ガス排出量を削減する。国別の数値目標は、日本6 %、EU
( 欧州連合) 8 %、スイス8 %、ハンガリー5 % などで、全体で5.2 % の削減を目指丸森林などの吸収源による温暖化ガス吸収量を算入することも認めている。

国内の削減努力だけで目標を達成することが難しい場合には、市場メカニズムを活用して温暖化ガスの排出を相殺できる「京都メカニズム」を導人した。
京都メカニズムは、次の3 つの措置を指す。
① 排出枠( 割当量) が設定された先進国間で排出割当量の一部を取引できる国際排出権取引
② 先進国による技術や資金の提供で途上国の持続可能な開発を支援しながら排出量削減事業を実施。そこで生じた排出削減量(CER) を先進国の目標達成に算入するCDM( クリーン開発メカニズム)
③ 先進国が共同で排出削減事業を実施。生じた排出削減単位(ERU) を関係国間で移転して目標達成に算入するJI(共同実施)
一方で、インドや中国などの発展途上国には温暖化ガスの削減義務がなく、京都議定書の有効性を疑問視する向きもある。

ポスト京都議定書

京都議定書の第1 約束期間は2008 年~12 年だが、13年以降の第2 約束期間における温暖化ガス削減の枠組みは未定だ。この13 年以降の枠組みのことを「ポスト京都議定書( ポスト京都)」と呼ぶ。
ポスト京都の枠組みを決めるため、現在、国際的な議論が進められている。

京都議定書は、第1 約束期間内に目標を順守できない場合、排出超過分の1.3 倍を第2約束期間の排出枠から差し引くことを定めている。順守するための行動計画策定や、排出権取引による移転の禁止などのペナルティーもある。
05 年11 月にカナダのモントリオールで、京都議定書の第1 回締約国会議( COP/M OP1)と温暖化防止条約第11 回締約国会議(COP11)が開かれた。ポスト京都の枠組みに関する議論の進め方が決まり、京都議定書に批准する先進国の削減目標に関する交渉が始まった。

続いて、COP/M OP2とCOP12が、06 年11 月にケニアのナイロビで開かれた。そこでは、ポスト京都の
枠組みにも深くかかわる京都議定書の見直しが議論になった。中国やインドなどC02の排出増が顕著な途上国に削減を担わせるか否かが焦点だったが、両国が強く反発。何とか道筋を付けたい日欧の交渉の結果、08 年のCOP/M OP4で見直すことになった。

07 年のCOP13とCOP/M OP3では、特別作業部会( AWG)を設け、09 年までに検討作業を終えることで合意した。しかし、将来に向けた削減の数値目標を織り込みたいEU( 欧州連合) と、削減目標に協調することになれば自国の経済に打撃を与えかねないと、数値目標をあいまいにしたい米国との対立構造が浮かび上がった。さらに中国などの途上国は経済発展を既に遂げた先進国が排出削減するのが先決と主張している。

国連気候変動枠組み条約

温暖化ガスの増加に伴う地球温暖化など、気候変動を防止するための枠組みを定めた国際条約。1992年5 月に国連総会で採択され、同年6 月にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット) では155 力国が同条約に署名、94 年に発効した。現在は米国を含む約190 力国とE U( 欧州連合) が同条約を批准している。

地球温暖化問題は科学者の国際会議で問題提起され、88 年に世界気象機関( W M O) と国連環境計画( U N E P) が気候変動に関する政府間パネル(IPCC) を設立した。IPC C は地球温暖化に関する科学的な研究成果を収集整理し、報告する目的で世界各国の科学者が参加する組織。2007 年にノーベル平和賞を受賞した。

IPCC の設立は地球温暖化問題が科学者の議論から国際政治問題へと波及する転機となった。気候変動枠組み条約は、90 年のIPC C 第1 次報告を受けた国連総会の決議を経て策定された。温暖化ガスの大気中の濃度の安定化を「究極の目標」とする一方、当面の対応する枠組みを定め、先進工業国が資金面、技術面などで発展途上国を支援することを義務づけている。

同条約の7 条では、「条約の最高機関として定期的に締約国の義務、制度的な措置について検討」する「締約国会議( C OP)」の設置を定めている。97年の第3 回締約国会議( C OP3)の「地球温暖化防止京都会議」において、温暖化ガス排出削減の数値目標などを定めた京都議定書が採択された。対象ガスをC0 2、メタン、一酸化二窒素( N 20)、代替フロン(H F CS、PF CS、SF6)に指定、08 ~12 年( 約束期間) の平均排出量を基準年比で欧州が- 8 %、米国が-7 %、日本は-6 %に削減する目標などが決まった。01年に米国が離脱したが、04 年にロシアが批准して05 年、京都議定書が発効した。07 年12 月にインドネシア・バリでCOP13 が開催され、13 年以降の「ポスト京都議定書」に向けた新たな枠組み作りの交渉が始まった。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)

IPCCは1988 年に世界気象機関( WM O)と国連環境計画(UNEP)によって設立された、気候変動の専門家から成る集団。気候変動に関する論文を世界中から収集し、数年おきに「評価報告書」をまとめている。第1次評価報告書を90 年、第2 次を95 年、第3次を2001 年、第4 次を07 年に発表した。評価報告書は各国が温暖化対策を進める上での科学的な根拠と位置付けられており、国際政治の観点からも非常に重い意味を持つ。

IPCCは3つの作業部会で構成される。第1 作業部会( WG1)は気候変動の科学的知見、第2 作業部会( WG2)は影響と適応策、第3 作業部会( WG3)は緩和策を議論する。それぞれの部会で、政策決定者向け要約( SPM) 、技術要約(TS) 、本文の3 つを作り、最終的に統合報告書にまとめる。第4次評価報告書には130 以上の国や地域から450 人を超える代表執筆者が参加した。彼らは、国連やW M Oの加盟国から自薦・他薦で選ばれた様々な分野の第一線の研究者たちで、800 人を超える執筆協力者から情報提供を受け、2500 人以上の専門家による査読( 審査) を経て3年がかりでまとめた。

この報告書でIPCCは、過去100 年間で地球の平均気温は0.76 ℃上昇し、上昇のほとんどは人為起源の温暖化ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い( 確率90 %超) との判断を示した。気候モデルを使ったシミュレーション結果では、100 年後の地球の平均気温は最大6.4 ℃上昇し、平均海面は最大59cm 上昇すると予測した。平均気温が1.5 ~2.5 を超えて上昇すると、動植物種の約20 ~30 %の絶滅リスクが高まるとの警告も発した。

しかし、例え15 年以降に世界でC02の排出量を減らし、50 年には00 年の排出実績の半分から15 %にするといった厳しい削減シナリオを実施しても、気温は2℃以上上昇することが予測されている。このため思い切った緩和策を講じるべきだと第4次評価報告書は提言している。

温暖化防止主要国会合

温暖化ガスの排出削減のため、米国が主催した国際会議。正式名称は、「ヒnネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合」。米政府の呼びかけで、2007 年9 月、ワシントンDCで開催され、08 年以降も開催されている。

主要国会合には、C02など温暖化ガスの排出量の多い中国、ロシア、日本、インドなど16 力国とEU( 欧州連合) が参加した。参加した国と地域が排出する温暖化ガスの総量は、世界全体の約80 %を占める。

ブッシュ米大統領はこの主要国会合で、12 年に期限を迎える京都議定書後の枠組みについて国連の下で交渉する考えを表明した。温暖化が重大な課題であるとし、「08 年夏までに会合参加国の首脳が集まり、排出削減の長期目標の合意を得か、yl と意欲を示した。

また、クリーンエネルギー事業を支援する国際的な「クリーン技術基金」の創設を発表した。米政府は、環境技術の革新を促進させるなど、「経済成長を阻害しない方法による温暖化ガス削減方法」を強調し、EUが主張する削減目標の設定には消極的な立場を明確にした。

日本政府も、「すべての主要排出国が参加できる柔軟な枠組みを作り、環境と経済成長の両立を目指す」と高村正彦外相が述べるなと米国と共同歩調を取る構えだ。米政府は、「50 年までに排出量を現状から半減させる」という日本の提案を受ける形で主要国会合の議論を進めた。

13 年以降の枠組み作りは、当初、「20 年までに1990年比で20 %の温暖化ガス削減の目標」を掲げるEUと、排出削減の義務化に慎重な日米との対立が深まり、キャップ・アンド・トレード方式の排出権取引制度に対するEUと日米政府との違いも際立った。07年12月の気候変動枠組条約締約国会議( COP13)では、09 年末までを交渉期限とする行程表「ノくリ・ロードマップ」を採択した。削減の数値目標は08 年以降、議論することで米欧が歩み寄った。

排出権取引/排出権

排出権とは、C02をはじめとした温暖化ガスの排出を相殺できる権利を指肌温暖化ガスの排出量に関する何らかの規制値を超過する政府や企業が、規制値を超過していない政府や企業から、排出権を売買できる仕組みを排出権取引と呼ぶ。

排出権取引の代表的な方式がキャップ・アンド・トレード型だ。この仕組みでは、まず国や企業の排出量の上限( キャップ) を決める。国や企業が温暖化ガス削減に努力してもなお、上限よりも多く排出した場合、上限よりも少ない国や企業などから超過分と同じ量の排出権を買って相殺する。

温暖化ガス削減事業をした場合と実施しなかった場合の差分に当たる排出権を割り当てる方式もある。
ベースライン・アンド・クレジット型だ。京都議定書は、先進国に温暖化ガスの削減義務を課したが、国内だけで目標を達成できる国は少ない。そのため、排出権を先進国間で取引する国際排出権取引の活用を認めている。

環境省によると、日本の温暖化ガスの排出量は目標に13.8 %及ばない(2005 年度確定値) 。国外からの排出権の取得で、1.6 %分の確保を目指す。
英国は2002 年に自国内で排出権取引を開始した。EU( 欧州連合) は世界初の多国間取引市場である欧州排出権取引制度(EU ETS)を05 年1 月に始めた。企業に割り当てられた排出権を直接売買できる。
ただし、削減率の甘さと、市場参加者が限定的で取

引市場が未成熟である点などが指摘されている。国内では、環境省が「自主参加型国内排出量取引制度( JVETS)」を05 年度に開始した。排出量の上限を、参加する企業が自主的に定める。経済産業省は、「中小企業等C02排出量削減制度」の仕組みを整備する。発行する国内排出権は、自主行動計画の目標達成などに生かすi東京都は、キャップ・アンド・トレード方式の排出権取引などによるC02排出規制の導入を目指すが、産業界が反発している。

CDM /JI

先進国が技術や資金を提供し、発展途上国と協力して温暖化ガスの削減事業を進め、途上国で削減した量を先進国の目標達成に算入できる制度をCDM(クリーン開発メカニズム)という。削減した量に基づいてクレジット(CER。単に排出権とも呼ぶ) が発行される。

先進国が途上国の持続可能な開発を支援することで、温暖化ガスの削減や吸収も狙う。
1997 年12 月、地球温暖化防止京都会議(COP3)で京都議定書が合意された。CDM はその中で導入された京都メカニズムの1 つだ。先進国から途上国に対する省エネ技術などの移転促進も目的としている。

その後、2001 年11 月にモロッコで開催した地球温暖化防止マラケシュ会議(COP7) でCDM の運用や管理を担当するCDM 理事会が国連に設置され、運用ルールを決めた。

CDM 理事会による登録が済んだプロジェクトは、08 年1 月までに907 件に上る。日本政府が承認し、CDM 理事会が登録したCDM プロジェクトは、07 年12月末現在で268 件に達した。07 年12 月、京都議定書の第3回締約国会議(COP/M OP3)と国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議( COP13)がインドネシアのバリ島で開かれた。CDM の申請案件数が増加傾向にあるため、制度運営の透明性や効率性の向上などを決た。また、C02隔離貯留(CCS)技術のCDM は議論を続けることを決定した。

一方、JI( 共同実施) も同じく京都メカニズムの1 つだ。温暖化ガスの排出削減などの事業を先進国同士が共同で実施する。その結果生じた排出権( ERU)を、事業を実施した国が投資した国に排出権として分け与える制度だ。
数値目標のある先進国間での排出権の取得や移転で、先進国全体の排出権の量は変わらない。
日本が承認したJIプロジェクトは、07 年12 月末時点で15 件ある。

排出原単位

生産量など、ある特定の単位当たりの環境汚染物質の排出量を示す値。例えば、ある製品を1t 生産する過程で排出されるC02排出量を、生産量当たりのC02排出原単位と呼ぶ。売上高や国内総生産(GDP)、人口1 人当たりなど、単位に使われる指標は様々である。

企業などが温暖化対策を進める上では、生産量や売上高当たりの温暖化ガスの排出原単位を、経営指標として掲げるケースがある。このような「原単位削減目標」とは対照的に、単に温暖化ガスの削減量を目標として定める「総量削減目標」を使う場合もある。

排出原単位は、企業の経営の効率性を表す数字ともいえる。そのため、経営指標として導入しやすい。ただ、原単位を減らしても生産量や売上高が増えれば排出量自体は増える可能性があるため、総量での削減を求める京都議定書の精神と合致しないとの否定的な見方もある。

クレジット

温暖化ガスを削減した量を示す「証明」のこと。
いわゆる「排出権」の1つで、温暖化ガスの排出削減プロジェクトを実施すると見返りに獲得できる。「炭素クレジット」とも呼ばれる。

温暖化対策を進めるための国際的な規定である京都議定書では、自国で温暖化ガスの削減に努力するだけでは目標を達成できない先進国が、他国で進める削減プロジェクトに投資すると、他国での削減量を自国の削減量として算入することを認めている。この削減量の証明がクレジットである。京都議定書に批准している先進国間で取引ができる。

途上国で温暖化ガスを削減する『CDM( クリーン開発メカニズム)」に先進国が協力すると見返りに獲得できるクレジットを「CER」、先進国がほかの先進国で削減を進める「JI( 共同実施)」で獲得できるクレジットを「ERU」と呼ぶ。国際排出権取引協会(IETA) によると、2006 年に世界で約5億800 万tのクレジットが売買された。

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