環境事典 環境全般Ⅴ

大気汚染防止法

大気汚染防止法は、大気環境を保全し、国民の健康と生活環境を守ることを目的とした法律である。高
度経済成長期の1960 年代に石油コンビナートなどから発生するばい煙や自動車排ガスによる大気汚染が
社会問題になった。こうした状況のなか、大気汚染防止法が68 年に制定され、その後も、新たな大気汚染
問題が現われるたびに改正が繰り返されてきた。

大気汚染防止法は、国が政策目標として掲げる「環境基準」を全国で達成するために、大気汚染物質を排出する工場や事業場に規制を課している。規制対象は、①ばい煙発生施設、② 揮発性有機化合物(VOC)排出施設、③ 一般粉じん発生施設、④ 特定粉じん(アスベスト)発生施設、⑤ アスベストに関する作業現場  の5 施設だ。規制対象の施設を設置、または作業する場合には、事前に都道府県知事への届け出が必要である。

① のばい煙とは、燃焼に伴って発生する物質のことで、硫黄酸化物(SOX)や窒素酸化物(NOX)、ばいじん( すす) など7 物質を規制する。これらを排出するボイラーや廃棄物焼却炉、ディーゼル機関など33 種類の施設のうち、一定の規模を超えるものは、排出口(煙突) でのばい煙の濃度を基準値以下にしなければならない。

③ ④ の粉じんとは、物の破砕や堆積などによって発生したり飛散する物質の総称だ。特定粉じんは、アスベスト(石綿) を指す。一般粉じんの規制は、ベルトコンベヤーや堆積場、破砕機といった発生施設の種類ごとに構造と使用管理基準を定めている。アスベストは、プレスや切断機といった発生施設と、アスベストを使用した施設の解体作業などアスベストにかかわる作業現場に分けて規制が設けられている。

② のVOCは大気中で気体になる有機化合物のことで、2006 年4 月に規制が始まった。ばい煙や粉じんとは規制の体系が異なり、大規模な工場に関しては濃度規制を課すものの、小規模な施設については企業の自主的な削減努力に任せている。

JC08 モード

自動車の燃費や排ガス性能を測定するための、試験用の走行パターンの1 つ。従来は、エンジンが冷え
ている状態から測定する「11 モード」と、暖まってから測定する「10・15 モード」と呼ぶ2つの試験モードで
測定していたが、それぞれ2008 年10 月と11 年4 月にJC08モードに切り替わる。

10・15 モードや11 モードは1980 年代に制定された方式で、測定の前提となる自動車の性能や交通状況
などの条件が現状とかい離していた。そこで改めて実際の走行データを収集し、統計処理することでJC08
モードを策定した。従来の試験モードよりも、実際の走行状態に近い条件で、燃費や排ガス性能を測定できる。

JC08 モードは、省エネ法で定める「燃費基準」の測定や、排ガス性能の基準を定めた「新長期規制」でも採用される。自動車の排ガス・燃費性能がより正確に評価できるようになるため、規制強化の効果が大きくなる。

東京大気汚染訴訟

東京都内のぜんそく患者らが、自動車の排出ガスによる大気汚染で健康被害を受けたとして、道路管理者の国、都と首都高速道路、ディーゼル車を製造・販売する自動車メーカー7 社を相手取って起こした訴訟。損害賠償や自動車の排出ガス中の汚染物質の排出差し止めなどを求めた。原告数は1997 年の第1 次提訴から第6 次までで計630 人。

東京地裁は2002 年10 月、1 次訴訟の原告99 人のうち、幹線道路近くに住む7 人に対してのみ、ぜんそくと大気汚染の因果関係を認め、国や東京都に損害賠償を命じた。しかし、自動車メーカーの法的責任は認めなかった。都は控訴せずに損害賠償をしたものの、国や首都高は控訴。健康被害が認められなかった原告も控訴した。07年8 月に都内全域のぜんそく患者を対象にした自己負担なしの医療費助成制度を創設するといった条件で和解が成立した。医療費助成制度は、5年で200 億円を国と都、首都高、メーカーが拠出する。 

水質汚濁防止法

水質汚濁防止法は、環境基本法が環境保全の政策目標として定めた「環境基準」を達成するために、工場・事業場から公共用水域に排出される水に基準を設けて規制する法律である。1970 年の「公害国会」で、水質保全法と工業排水規制法に代わって制定された。政令で定めた「特定施設」を設置する工場・事業場( 特定事業場) が規制対象になる。
特定施設とは、飲食店の厨房施設( 総床面積420m2以上の事業場に限る)や、下水処理場など、業種ごとに指定された排水を大量に出す施設で、約200種類に上る。2006 年3 月末時点で、全国に特定事業場は29 万759 ヵ所ある。

特定事業場に適用される排水規制は大きく2つに分かれる。1つはすべての特定事業場に適用される濃度規制である。人の健康に大きく影響するカドミウム、鉛、六価クロム、水銀などの物質については「健康項目」として27 項目、動植物や水の利用に影響する化学的酸素要求量( COD) や大腸菌群数、窒素、リンなどは「生活環境項目」といて15項目の基準値を定めている。

もう1つは、汚濁が進みやすい閉鎖性海域を対象にした総量規制だ。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の周辺の指定地域内で1 日当たりの平均排水量が50m3以上の特定事業場が総量規制の対象になる。赤潮の原因になる富栄養化を防ぐため、生活環境項目の中のCODと窒素、リンについては、排水の濃度と排水の量をかけた総量も規制している。
工場・事業場の排水を規制する主な法律としてはもう1つ、下水道法がある。水濁法が公共用水域に流す排水を規制するのに対し、下水道法は下水処理場に接続している下水道に流す排水を規制する。
下水処理場では処理できない物質が流れ込むことを防ぐためだ。多くの工場・事業場では、生産工程の排水は処理をして公共用水域に、トイレなどから出る生活排水は下水道に流しているため、この2 つの法律の順守が求められる。

上乗せ/横だし

国は、環境汚染物質について全国一律の規制基準を設けている。企業は、大気汚染防止法ではばいじんと有害物質の排出について、水質汚濁防止法では各種排水について順守を求められる。

しかし、汚染物質の発生源が多いなど、一律規制では政策目標である「環境基準」を達成できない地域や水域もある。この場合、都道府県は条例で一律規制より厳しい「上乗せ基準」を定めることができる。

水質については、全都道府県力吃乗せ排水基準を設定している。大気については、アスベストなどの有害物質を、法律に上乗せして規制する自治体もある。
都道府県や市町村は、国が規定する項目以外についても、条例で基準を設けることができる。これが「横だし基準」だ。国の法令の罰則は上乗せ基準に触れた場合は自動的に適用されるが、横だし基準については条例で明示されなければ適用されない。

一方、法の規制対象施設よりも小規模な事業場などにまで規制を広げることを「すそ下げ」という。

エアロソJレ

大気中に浮遊する微小粒子のこと。火山灰や中国の黄砂など自然起源のものから、ディーゼル車の排出ガスの黒煙など人為的な汚染物質まで多岐にわたる。粒径が10 μm(マイクロは100 万分の1) より小さいものを浮遊粒子状物質(SPM)、大きい粒子を含むと浮遊粉塵(SP) と呼ぶ。2.5μm 以下のエアロゾルはPM2.5と呼ばれる。

エアロゾルは大気汚染や人への健康被害を引き起こす。自動車や工場から出る窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物( VOC)が光化学反応によってオキシダントになる際、NOxや硫酸、アンモニアがSPM に変わり、光化学スモッグの原因になる。

エアロゾルは地球を冷やす効果もある。太陽光を反射して直接冷却する効果と、エアロゾルが核になって出来た雲が地上を冷やす雲アルベド効果がある。

C02などによる温室効果の3 分の1 から半分をエアロゾルの冷却効果が相殺すると考えられており、温暖化予測の焦点になっている。

世界初 完全ワイヤレス骨伝導イヤホン

・骨伝導イヤホンの悩みの種だった音漏れを大幅に軽減!周りに人がいる環境でも音漏れを気にすることなく  音楽をお楽しみいただけます。(従来品と比べて約50%軽減) ・従来のフルワイヤレスイヤホンと一線を画す斬新なデザイン。

おすすめの記事