エネルギーⅣ

熱電素子

温度差を電気に変える半導体で、「熱電変換素子」とも言う。高温側から低温側に電子が移動する夕イプと、高温側から低温側に正孔( 電子の抜け穴) が移動するタイプの2 種類があり、この2タイプの低温側を電線で結んでおくと、温度差によって発電する「熱電池」になる。

小型の冷蔵庫などの冷却装置に使われている「ペルチエ素子」は、電気を流すと温度差を生み出す半導体モジュづレだが、熱電池はそれを逆向きにしたもので、基本原理は同じだ。ペルチエ素子を転用した従来の熱電池では、100 ℃以上になると破損して使えなかったが、熱に強い熱電素子の改良とモジュール化の工夫によって、500 ℃以上でも使えるものも出てきた。小さなデバイス( 部品) で熱を電気に変えられるため、自動車のエンジン排熱や小型焼却炉などの排気による発電などに利用が検討されている。しかし、耐久性の低さやコストの高さなどの課題があり、本格的に普及していない。

炭化ケイ素/シリコンカーバイド

ダイヤモンドに次いで硬い物資で、SiC( シリコンカーバイド) とも言う。約2300 ℃ で昇華することから、耐火レンガや研磨剤など高温にさらされる用途に利用されてきた。ディーゼル車用の排ガス浄化装置
①PF)の材料として需要が伸びている。現在の半導体材料の主流であるケイ素(Si= シリコン)に比べ、より電子を移動させやすく熱ロスが少ない特性があるため、次世代の省エネ型半導体の材料としても注目を集めている。材料自体の電力損失( 熱ロス)は、ケイ素の100 分の1 。特に電力を制御するパワー半導体の素子として採用されれば、家電の電力損失は3 分の1 になるとの試算もある。ただ、加熱すると固体からいきなり気体になるため、
単結晶のインゴットを作り、基板( ウェハー) にするのが極めて難しい。炭化ケイ素ウェハーを量産して供給している企業は、欧米の数社しかない。日本もベンチャーや大手メーカーが参入しているが、本格的に量産している企業はない。

発電効率

発電する際に投入した燃料が本来、持っているエネルギー総量のうち、電気に変換された割合を示す数値を「発電効率」という。現在の最新型の大型火力発電所( 天然ガスの複合火力発電所) では、約50%にまで達しているが、それでも約半分は廃熱として大気に捨ててしまっている。

加えて、発電電力は、発電所から需要家まで送られてくる過程で、送電線から数%卜般的には3 ~4 %)が熱になって失われる。これを「送電ロス」と言う。電気を利用する場所で発電する分散型電源の場合、送電ロスはほとんどなく、発電した後に残った廃熱を、給湯や空調の熱源として利用するコージェネレーション( 熱電併給) システムが可能になる。コージェネの効率は、発電効率と排熱利用効率を足したものになり、これを「総合効率」と呼ぶ。
例えば、発電効率40 %のガスエンジンを使い、廃熱の30 %をお湯として使った場合、総合効率は70 %になる。

蒸気タービンや内燃エンジンを使った発電システムの場合、燃料を燃やして得た熱を運動エネルギー(タービンやピストンの回転運動) に換え、それを発電機に伝えて電気に換える。つまり、システムの効率は、熱を仕事にの場合、電気) に換える効率を意味するため、「熱効率」という呼び方をすることもある。燃焼を伴う発電システムの場合、発電効率と熱効率は同義語になる

ただ、燃料電池のように水素の化学エネルギーを直接、電気に転換できる発電システムの場合は、熱効率とは言わず、発電効率を用いる。熱を介さないため効率は50 %以上と相対的に高い。
白動車のエンジンにも熱効率を使うことがある。この場合、最終的に求める仕事は走行なので、燃料( ガソリンや軽油) を燃やして得た熱を運動エネルギーに転換した割合を熱効率と呼ぶ。ガソリンエンジンの熱効率は低回転域での熱ロスが大きいなど20 %前後と低く、高回転域を中心に使えるハイブリッド車でようやく30 %を超える程度だ。

レアメタル( 希少金属)

非鉄金属の中で、埋蔵量が少ない金属と埋蔵量は多くても純粋な金属として取り出すことが難しい金属元素の総称。ベースメタルと呼ばれる銅や亜鉛、アルミニウムに対し、レアメタルは相対的な消費量は少ないが電子家電などのハイテク製品に不可欠な金属元素である。

例えば、液晶モニターはガラス表面の透明電極にインジウムが必要であり、ハイブリッド自動車のモーターにはネオジム( 希土類) が使われる。鋼材の切削用超硬合金にはタングステン、青色発光ダイオード(LED) はガリウムが使われるなど多様な用途に用いられている。

レアメタルを駆使した製品は、パソコンやデジタカメラなどの精密機械全般にわたり、クロムはステンレス鋼、マンガンはアルミ合金や特殊鋼に添加され、自動車や航空機にも重要な素材だ。
日本は最大のレアメタル輸入大国であり、デジタル家電などに必要なインジウム、タングステンと希土類の90 %を中国から輸入している。

世界最大のレアメタル輸出国だった中国だが、2007年4 月に希土類の輸出の制限を発表した。資源の輸出規制に方針を転換した中国は、今後そのほかのレアメタルの輸出も制限するとみられ、レアメタルの国際価格の高騰はハイテク産業に重くのしかかる。
さらに物質・材料研究機構は、「2050 年までに多くの金属の消費量が( 採掘が経済的に見合う)埋蔵量の数倍を超える』という研究報告を公表した。

資源枯渇が深刻な金属は銅や鉛などのベースメタルに加え、レアメタルのアンチモン、インジウムは( 存在が確認されている)埋蔵資源も枯渇する。タングステンやコバルト、パラジウムも消費が現有埋蔵量を超過する予測だ。

経済産業省は5 年後の実用化に向け、インジウムやタングステンなどレアメタル代替材料の開発に乗り出し、並行してリサイクルやリデュース技術の研究も実施する。

超臨界水

液体とも気体ともつかない状態になった高温・高圧の水のこと。水は温度によって、固体、液体、気体と状態を変え
るが、「臨界点」と呼ぶ374 ℃、218 気圧を境に液体と気体の区分がなくなる。

臨界点を超えた超臨界水はたくさんの水分子が激しく動き回っている状態で、見た目は水蒸気のようだが、性質は大きく異なる。密度が高くモノを溶かしやすい液体と、運動エネルギーが大きい気体の両方の性質を併せ持つ。
ここにきて産業技術としてうまく活用した例が出てきており、PCB( ポリ塩化ビフェニル) やダイオキシンと
いった、分解しにくい有害物質でも短時間で分解できることが、最大の利点に挙げられる。さらに、水だけで無害化でき、溶剤などを利用しないため、後工程で廃棄物を処理する必要がない。

三菱重工業は、日本環境安全事業( 東京都港区)の東京PC B 廃棄物処理施設に超臨界水を利用したプラントを納入しており、2005 年11 月から稼働している。

一方、超臨界水になる一歩手前の「亜臨界水」が最近、注目を集めており、活用する例も増えてきた。超臨界水と比べるとやや温度が低いため分解速度がその分遅く、廃棄物などから資源を回収するのに適している。超臨界水は、短時間で有害物質を無害化できる半面、分解が一気に進むため、途中で生成される物質を回収するのが難しい。
神戸製鋼所は、ポリウレタンの原料であるTDI(トリレンジイソシアネート)の製造過程で生じる残さから、亜臨界水を利用してTDA(トルエンジアミン)を回収、TDIの原料として再生利用するプラントを開発した。1998 年1 月から、三井化学ポリウレタン(東京都港区) の鹿島工場で稼働している。

応用分野が広がってきたが、高温・高圧の水を作るためのコストやエネルギー消費量が大きいことが、商
用プラント普及の壁になっている。

LED照明

LED( 発光ダイオード) は、電気を通すと発光する性質を持つ半導体の総称で、白熱電球や蛍光灯とは違うメカニズムで発光する。“球切れ’のない半導体素子であり、長寿命と省エネルギーの光源として多用途での利用が期待されている。経済産業省は全国の交通信号機約192 万灯のうち、180 万灯の交通信号機をLED照明化した場合の消費電力抑制効果を、原油換算にして年間21 万k 斟こ達すると試算している。

環境省が2006 年7 月にまとめた「エネルギー起源二酸化炭素に関する対策」は、10 年に高効率照明の約10 %をLED照明に転換することで、約340 万tのC02排出削減になると見込んでいる。この試算はLED照明のエネルギー消費量が蛍光灯の5分の4、白熱電球の5 分の1 を前提としているが、既に蛍光灯と同等の光量のLED照明器具が製品化されている。LEDは3 層構造の半導体に電圧をかけ、電気エネルギーから光子を発生させる仕組み。この半導体素子(0.3mm角程度) を電子基板の上に設置し、直流電流を流す構造だ。LED素子をエポキシ樹脂製のレンズで包んだものをLEDと呼んでいる。

LED の発光色は素子の材料( 物質の種類) で変わるが、白色は青色発光に蛍光体を使い白く見えるように設計されている。半導体素子( チップ) そのものは推定10 万時間程度と長寿命だが、エポキシ樹脂を使ったレンズ部分の寿命は使用環境などの諸条件によって左右される。
LEDは白熱灯やハロゲンランプなどと違い、発光に伴う放射熱が発生しない。単体の出力も、赤色の約1.4V から白色の3.5V という低電圧で高照度が得られるため、『LEDは発熱しない』と誤解されやすいが、光子として放出されない電気エネルギーは熱伝導となる。単体のLEDは20 ~50mA 程度と電流が少ないため発熱は少ないが、大型ディスプレイなどLEDを集積させると熱エネルギーも増える。また5V以上の高出力LEDは発熱量も多くなり、排熱対策も必要だ。

EUP 指令( エコデザイン指令)

環境配慮設計に関するE U( 欧州連合) 指令。「Directive on E co-D esign of E nergy-usingProd ucts」の略で、「エネルギー使用製品指令」もしくは「エコデザイン指令」と訳T 軋2005 年8 月に制度の枠組みを定めた指令が発効した。製品ごとの実際の規制が始まるのは、10 年ごろになりそうだ。

欧州では、製品のライフサイクル全体を見渡して環境への負荷を減らす、「包括的製品政策( IP P)」が進んでいる。E u P 指令は、W E E E( 廃電気電子機器) 指令やR oH S( 有害物質使用制限) とともに、IPPの中心を担う。
電気製品やO A 機器、石油・ガス機器など、輸送機器を除くエネルギー使用機器が規制の対象になる。
原料の採取、生産、使用、廃棄の全工程で環境への影響を評価し、環境に配慮した設計と製品作りを求める。

有害物質の使用も制限する。① E U 域内での年間販売台数が相当量( 約20 万台) 以上、②著しい環境影響がある、③ 大きなコスト負担をかけずに環境への影響を改善できる  を満たす機器が対象だ。
企業は設計要求を満たさなければならない。環境マネジメントシステム(EMS)の導入や、基準適合を示すCEマークの添付も必要だ。ライフサイクル全般にわたる評価をするため、部品などの納入業者にもメーカーが必要とする環境情報の提供を求める。

国際電気標準会議(IEC)は、04 年10 月に専門委員会「TC111」を設置し、電機電子機器の含有化学物質晴報の開示手順や、環境配慮設計に関する国際標準規格を策定している。EUP指令は、この国際規格に則って運用する。
日本企業の対応も始まっている。日立グループは07年11 月、日本で初めてEUP指令に対応した自社指針を策定した。同指針に基づき、製品の環境負荷を低減させるための設計評価を、全事業グループで運用する。

フロン/フロン回収・破壊法

正式名称は、フルオロカーボン。炭素とフッ素の化合物で、化学的に安定かつ無毒で不燃性であるため、多くの種類が開発され、洗浄剤や冷媒、発泡剤など工業用途に広く使われてきた。

なかでもクロロフルオロカーボン類( CF C S)とハイドロクロロフルオロカーボン類( H CF CS)はオゾン層を破壊する性質がある。地上で放出されたこれらの物質は、はるか上空で紫外線によって分解される。その際に塩素系の物質を生成する。これが触媒として働き、大量のオゾンが分解されてしまうのである。

そのため、ウィーン条約のモントリオール議定書では、CF C SとH CF C Sを規制している。CF C Sは先
進国では1996 年までに全廃され、発展途上国でも2010年までに全廃する予定。H CF C Sは先進国では20年までに、発展途上国でも30 年までに全廃することになっている。

国内ではオゾン層保護法によってC F C SとH CF CSの生産を段階的に廃止してきた。今後は、使用済みの製品の中に残っているこれらの物質を大気中に放出しないようにすることが課題となる。そこで、業務用冷凍空調機器に充てんされているフロン類の回収と破壊を進めるため、「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律( フロン回収・破壊法)」を、02 年4 月に施行した。
しかし、業務用冷凍空調機器の冷媒の回収率は3割程度と低かったため、07 年10 月にはフロンの管理を厳格化した改正法を施行した。フロンは強力な温暖化ガスでもある。CFCSはC02の4000 ~9300 倍、HCFCSは90 ~2000 倍の温室効果を持つため、温暖化対策上も回収と破壊を徹底する必要がある。京都議定書目標達成計画では、10 年度までに回収率を60%にするなどの目標を設定している。
ちなみに、オゾン層を壊さないハイドロフルオロカーボン類( HFCS)、通称「代替フロン」にもC02の140
~1 万1700 倍の温室効果があるため、同法に基づく回収・破壊が義務づけられている。

モントリオール議定書

正式名称は、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」。オゾン層保護のためのウィーン条約に基づき、オゾン層を破壊する恐れのある特定物質の生産、消費、貿易を規制する。1987年に採択され、89 年に発効した。日本は採択時に署名している。2007年8 月時点の締約国は、191 力国。
議定書の発効により、クロロフルオロカーボン類(CFCS)、ハロン、四塩化炭素などが先進国では96年までに全廃された。発展途上国は10 年までに全廃することを決めている。

W M O(世界気象機関) は06 年、南極上空のオゾン濃度は65 年ごろに、オゾンホールが形成され始めた80 年ごろの水準にまで回復するとの予測を発表した。国際社会が協力して成果を出したことから、「地球規模の環境協定としては最も成功したケース」と評価する声が多い。特定物質についての削減の数値目標を設定して各国が対策を進める手法は、95 年に採択した国連気候変動枠組み条約の京都議定書のモデルにもなった。

モントリオール議定書の締約国会議は毎年開かれており、段階的に規制を強化している。オゾン層を破壊する力が比較的弱いためCFCSの代替物質として広く使われているハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFCS)は、先進国では20 年、発展途上国では40年に全廃とされていたが、07 年9 月にカナダのモントリオールで開かれた締約国会議では、途上国の全廃の目標を30 年に前倒し、その間の段階的な削減目標も設定した。

規制だけではなく、削減を後押しする仕組みもある。発展途上国での削減一回収事業を推進するために、先進国が資金を拠出して「オゾン層保護基金」を設けている。日本は、米国と並ぶ最大の拠出国である。
フロンの回収・破壊技術や、フロンの主な用途である空調機器の技術では、日本が世界の先端を走る。資金提供に加えてこれらの技術を積極的に活用することが期待されている。

オゾンホール

オゾンホールは、南極上空で起きるオゾンの濃度が著しく減った現象。周辺に比べて穴が開いたようになることにちなんで名付けられた。
オゾン(03) 層は、地上10 ~50km の成層圏にあるオゾン濃度の比較的高い層で、太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を守る役目を持つ。オゾン層が破壊されると、皮膚がんや白内障のほか、農作物の収穫が減少する、海洋生態系の基礎となる浅い海域でのプランクトンが減少するといった被害が出る。

オゾン層の破壊物質は、カーエアコンや冷蔵庫に使われていたフロン。1996 年にはモントリオール議定書の取り決めにより、先進国での特定フロンの生産・使用が全面禁止になり、代替フロンについても順次禁止になっている。96年以降、フロンの使用量は劇的に減少し、このまま続けば50 年にはオゾンホールが消滅するとの調査結果が2002 年に発表された。ただ開発途上国での対策が遅れているとの問題がある。

ノ ン フ ロ ン(自然冷媒)

ヒートポンプに使われる冷媒は、人工的に作られたフロンもしくは代替フロンと、自然に存在するノンフロンとに分けられる。ノンフロンは、オゾン層を破壊するフロンや温室効果が非常に強い代替フロンに代わる冷媒として注目されている。

ノンフロンには、C02、イソブタンなどの炭化水素、アンモニア、水などがある。省エネ型の電気給湯器「エコキュート」は、フロンなどに比べて高温を作り出すのに向いているC02冷媒を使っている。いまや主流になった「ノンフロン冷蔵庫」には、イソブタンが使われている。ただし、フロンや代替フロンは無害で不燃性なのに対し、アンモニアは毒性が、イソブタンは可燃性がある。また、C02は高圧に耐えるヒートポンプが必要など、技術的な課題は少なくない。

ちなみに使用済みエアコンでは冷媒のフロンの約3割は回収しきれずに大気に放出されるという。これは、ライフサイクル全体の温暖化ガス排出量の約1 割に相当する。

代替フロン

HF CS(ハイドロクロロフルオロカーボン類) の通称。フロンには分子に含まれるフッ素や炭素、水素原子などの数や組み合わせの違いからCF CS(クロロフルオロカーボン類) や、H CF C S(ハイドロクロロフルオロ
カーボン類) など様々な種類がある。

地上で放出されたフロンは、はるか上空で紫外線によって分解される。その際に塩素系の物質が生成され、これが触媒として働き、大量のオゾンが分解されてしまう。そのため、モントリオール議定書によって段階的に使用量を削減してきた。

現在は、H CF C Sから塩素を除いた、H F CSへの移行が進む。ただし、H F C SにはC0 2の140 ~1 万1700倍もの温室効果があり、京都議定書の削減対象になっている。そのため、フロン回収・破壊法、家電リサイクル法、そして自動車リサイクル法で、CF C SやH CF C Sとともに回収が義務づけられている。現在は、温室効果がない「ノンフロン( 自然冷媒)」の利用が進んでいる。

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