エネルギーⅢ

NAS電池

「ナトリウム硫黄電池」の略称。ナトリウム( 一極) と硫黄( +極) の間にある、固体の電解質を動くイオンを利用した電力貯蔵用の二次電池。300 ℃の高温で充放電し、鉛蓄電池の約3 倍のエネルギー密度を持ち、蓄電効率が高い。単セルでの起電力は約1.78 ~2.08Vで、NAS電池電力貯蔵システムはこの単電池を数百本まとめてモジュール構造にしたもの。発電所でも使える容量の大きさに加えて、寿命が長いという特徴がある。

NAS電池は、1967 年に米フォード・モーターが開発した。その後、国内では84 年に日本ガイシと東京電力が開発を始めた。夜間電力の蓄電により電力設備の利用率を高められるほか、落雷時の瞬間的な停電など非常用電源としても注目を集めた。
その安定した大容量の蓄電能力のために最近では風の強弱に発電量が左右される風力発電での利用が見込まれ、2003 年から日本ガイシで量産が進められている。

バイオエタノール

植物原料を発酵したアルコールの一種力々くイオエタノールで、化石燃料に代わる自動車燃料として注目を集めている。安倍晋三前首相は2006 年9 月の所信表明演説で、「自動車燃料にバイオエタノールを利用する」と述べ、06 年11 月にはバイオエタノールの国内生産を年産600 万ぽ( ガソリン消費量の10 %相当) に増やす取り組みを指示した。

バイオエタノールの国内生産は、沖縄県のサトウキビ原料など全国6ヵ所で30 ぽ規模の試験生産の段階にある。政府は京都議定書目標達成計画(05 年4月) の中で、10 年度までに原油50 万k 叶目当分をバイオエタノリレなどの植物バイオマス燃料を代替燃料にする方針だが、首相の発言は既存の目標を大幅に越えるものだ。

植物由来のアルコールは酒造と同じ発酵の原理で、サトウキビなど多くの糖分を含む原料は発酵の効率が高く生産に適している。しかし、スウェーデンでは製材の端材を原料とする木質エタノール生産を増やす計画で、既に95 %エタノール(E95) を燃料とする路線バスが13 都市で定期運行している。乗用車では85 %エタノール(E85) 対応車の普及を推進するなど「脱化石燃料」を進めている。一方、米国や日本は10%エタノール(E10) を目標とし、石油消費を軽減する計画だ。

05 年の世界のバイオエタノール年間生産量は4600万回、生産国はブラジルと米国で世界の7割を占める。だが、トウモロコシなど作物の栽培に費やす石油を差し引いたエネルギー収支や、食糧と飼料用途のバランスをどのように考えるかなど、石油代替エネルギーとして課題が多い。
環境省は調整水田や廃木材など未利用のバイオマス資源の利用を計画している。全国の調整水田71万ha の10 %を利用すればコメから年間15 万k 貳建設の廃木材から年間60 万kg の生産が見込め、将来利用可能なバイオマス資源から得られるバイオエタノールは最大年間約650 万k lと試算している。

グリーン物流


省エネや廃棄物削減など環境に配慮した物流の総称だが、C02削減に配慮した物流を指すことが多い。2005 年度の日本のC02排出量は工場などの産業部門が1990 年度比で5.5 %減っているのに対して、運輸部門は18.1%増えており、早急な対策が求められている。

運輸部門のうち貨物輸送が占める割合は、貨物車とほかの交通機関の貨物利用分を合計して39.2 %に達する。日本の温暖化ガス総排出量の7.4%に相当し、物流の効率化がもたらすインパクトは非常に大きい。06年4月施行の改正省エネ法のポイントは、物流事業者に加えて発注者側の荷主企業が規制対象になった点だ。荷主に省エネ目標を課す規制は、世界にも例がない。

現在は、省エネの責任を負った荷主企業が主体になり、物流事業者などと連携したグリーン物流が求められている。04 年12 月、国と荷主、物流事業者で作る「グリーン物流パートナーシップ会議」が発足した

氷蓄熱

氷蓄熱は、電気エネルギーを熱( 冷熱) として氷の状態で貯蔵する方法。夏の電力需要は昼間のピーク時と夜間との差が大きく、発電所はピーク時の電力需要に見合う発電能力が求められる。逆に夜間は電力需要が下がるため発電量の出力を調整しないと発電した電力が無駄になる。

そこで夜間の電気で冷熱を蓄え、昼の空調の冷熱源として利用するシステムが考案され、大規模なビルや工場などの建造物から一戸建て住宅まで、幅広い用途に対応した製品が販売されている。
熱として蓄える際、ロスはあるが、使用者にとっては最大消費電力を抑えることで基本料金を下げることができ、電力会社にとっては昼の需要を夜に移すことでピーク電力を下げ設備投資を抑えられる利点がある。また、空調の運転に氷蓄熱をうまく組み合わせれば、効率の良い領域で運転できるので省エネになる場合もある。

電力9社と空調設備メーカーが共同開発した氷蓄熱空調システムの「エコ・アイス」は、建物の規模や空調設備の設置スペースに合わせたタイプがある。
大規模施設用には、地下に氷蓄熱槽を設置し全室の空調室内機に冷水を循環させるセントラルタイプが一般的だ。一方、地下スペースが使えない場合は、熱源機と氷蓄熱槽をユニット化して屋外の地上や建物屋上に設置し、冷水を室内機に供給するユニットタイプがある。

既築ビルの改修屋内の各ゾーンに設置した室内機と氷蓄熱槽ユニットをパッケージ化したものや、店舗や家庭用のコンパクトな製品もある。電気事業連合会の調べによると、2006 年度の蓄熱式空調システム設置件数は約2 万6000 件に上る。
大規模施設の導入も目立ち、07年10 月に開業した「イオン鹿児島ショッピングセンタ刊( 売り場面積45800m2) は氷蓄熱式空調システムを導入。本田技研工業・鈴鹿物流センター( 延べ床面積約16 万m2)はエコ・アイス118 台を導入した。

超電導

超電導とは、特定の金属が超低温の状態になると電気抵抗がゼロになる現象で、オランダの物理学者が1911 年に-269 ℃に冷去pした水銀の超電導現象を発見したことに始まる。超電導の状態にある物質を「超電導物質」と呼び、その特徴は、「電気抵抗がゼロになること」と、「磁力線の排除」の2 点がある。つまり、超電導物質の中には周囲から磁力線が入らず、物質の中には磁力線がなくなり(完全反磁性) 、この現象をマイスナー効果と言う。

-269 ℃に冷却するために使われる液体ヘリウムが高価なため、超電導物質の実用化の壁となっていた。
しかし、86 年に-243 ℃より高い温度で超電導現象を起こす物質が見つかり、一気に実用化の研究が活発になった。
高温超電導は、液体窒素の温度である-196( C以上で起きる超電導現象。液体ヘリウムに比べて液体窒素は30 分の1 程度の低価格で冷却ができるため、実用化に弾みが付いた。

高温超電導物質の応用範囲は広く、既にM RI(磁気共鳴画像装置) などの医療機器は実用化されている。そのほか「電力ケープ」レ」や「高効率モータ刊「電力貯蔵システム」は実用段階にあり、次世代半導体基板と期待される「超電導回路」の開発も進んでいる。

「超電導ケーブル」は、電力の送電ロス( エネルギー損失) が大幅に減るため、C02排出量の削減や省エネ効果が大きい。全国の銅線送電網の電力損失は総発電量の約5 %に相当し、年間約500 億kWhに上る。米ニューヨーク州で2006 年に住友電工が開発した超電導ケーブルを地下に敷設し7 万世帯に電力を供給している。銅線に比べると、超電導ケーブルは細くて大容量の送電が可能なため敷設コストも抑えられ、地下に通す建設費は銅線の7 分の1 以下で済む。そのほかの分野では、IHI が07 年に365kW の船舶用の超電導モーターを開発し、08 年から市場に投入する。

有機EL

有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス) は、特殊な有機化合物が電気的なエネルギーで発光する現象のこと。ホタルが光るのと同じ原理である。この技術を応用することで、厚さがわずか数mmで液晶やプラズマ以上に高画質で省エネ性能の高い薄型テレビや、蛍光灯の2 ~3 倍の効率を誇る超省エネ型の照明などが作れる。

従来は携帯電話など一部の小型の機器に使われていただけだったが、2007 年は有機ELの商品化「元年」となった。ソニーは12 月に11 インチの世界初の有機ELテレビを発売した(パネルの最薄部の厚さ3mm、希望小売価格20 万円) 。並行して開発している27インチも数年以内の商品化を検討している。4月には東芝も09 年の発売を発表した。電力消費量はまだ液晶並みだが、発光材料などの改良で省エネ性能の大幅な向上が見込める。

まだ研究段階だが、ソニーは5 月に世界初のフルカラー表示が可能な曲がる有機ELディスプレーを発表した。厚さはわずか0.3mm。本当の「壁掛けテレビ」が可能になる上、製造にかかるエネルギーや原料も少なくて済む。
一方照明では、3 月にコニカミノルタホールディングスが、3 年以内の量産化に向けて米ゼネラル・エレクトリック(GE) と提携した。4月には、三菱重工業が09年に量産設備を販売すると発表した。最も発光効率が高い蛍光灯は1W 当たり約90 ルーメン( 光の量の単位) 。これに対して有機EL照明は、新エネルギー・産業技術総合開発機構( NEDO)では、20 年度に同200ルーメンを実現するとしている。
既に商品化されている発行ダイオード(LED) 照明とともに蛍光灯や白熱灯を代替する次世代照明の有力候補である。発光効率は10 年ごろ、照明器具全体の価格は15 年ごろに蛍光灯に並ぶとみられる。有機EL照明はシート状で天井に張るだけでよく、色合いがすべての照明の中で最も自然光に近いなど、省エネ以外に多くの長所がある。

メタンハイドレート

海底に沈殿しているシャーベット状のメタンガスと水の加工物のこと。1964 年、シベリアの永久凍土の下からシャーベット状のメタン(CH4)が発見された。
それは水とメタンが固まった氷状の物質で、メタン分子を水分子が取り囲む構造をしていた。その後の調査研究により、メタンバイトレートは海底の大陸棚や海溝などに広く分布していることがわかり、埋蔵量は天然ガスの100 ~1000 倍と推定されている。

日本近海には、四国・東海沖の大陸棚「南海トラフ」などに約6兆m3 という世界最大のメタンバイトレート層があるとみられている。日本近海の埋蔵量は、現在国内で消費される天然ガスの100 年分に相当する。
日本周辺のメタンバイトレートは、水深1000 ~2000mの海底の地下数百mの堆積層の砂層に含まれた状態で存在すると考えられている。浅瀬の粗粒堆積物が地震や津波などにより深海に運ばれて砂泥互層を形成し、海底扇状地となる。その海底地盤の下200 ~270m にメタンバイトレート層があることは、海底の掘削により明らかになった。メタンバイトレート資源開発研究コンソーシアム(経済産業省主導の共同研究機関) は、それらの坑井データや地震探査データなどの解析を基にメタン埋蔵量を検討中だ。

採掘技術の開発、環境への影響など2016 年度の実用化を目標に開発を進めている。実用化の課題は石油、天然ガスと比べた生産コストの高さと環境への影響だが、コストを考慮しても日本のエネルギー政策上の期待は大きい。しかし、環境への影響は難しい課題だ。メタンバイトレートは海底地盤の地層に硬い氷状の形で存在するため採掘技術が難しい。もし大量のメタンが漏れ、大気中に放出されると地球温暖化の要因になる。採掘は海底地盤の地層を抜き取る結果となり、地盤を崩す恐れも指摘されている。最悪のシナリオは、地盤崩壊が海底の地滑りとなり、大津波を引き起こすケースだ。「未知の領域」と言われる海底、地底の丹念な調査が重要といえる。

ヒートポンプ

気体は一般的に圧力を加えると温まり、逆に膨張すると冷たくなる。ヒートポンプはこの原理を利用して、熱を移動させる装置である。空調機器や冷蔵庫などに広く使われている。近年大幅な効率化が進み、省エネ機器として家庭用給湯器にエコキュート」や洗濯乾燥機などにも使われている。

ヒートポンプは圧縮機と膨張弁、そして熱交換器が1 本のパイプでループ状につながれた構造をしており、装置の中を「代替フロン」や「ノンフロン」などの冷媒が循環して熱エネルギーを運ぶ。エアコンで暖房する場合、まず冷媒を膨張させて外気より低い温度にする。冷媒は室外機の熱交換器の中を通過する際に、外気で温められる。その後、冷媒を圧縮すると、外気から奪った熱を室内に放出する。仕事を終えた冷媒は膨張弁を通り抜ける際に一気に圧力が下がり、再び冷たくなる。この動作を繰り返す。冷媒を逆向きに循環させると、室内の熱を吸収し、室外で放出するので冷房になる。

オイルサンド/オイルシェール

オイルサンド、オイルシェールともに石油の類似資源である。オイルサンドは、高粘土のタール状原油を含む砂岩層を指宋石油業界で有名な米国の石油専門誌「オイル・アンド・ガス・ジャーナル(OGJ)」は、カナダのアルバータ州を中心に豊富に存在するオイルサンドは経済的に見合うとして、2002 年から石油の確認埋蔵量に加えた。

原油に比べて回収コストがかかるが、近年の原油価格の高騰で採算が取れるようになった。石油メジャーを中心にオイルサンドの開発は急ピッチで進んでいる。04 年には予定より16年も早く日産100 万バレルを達成した。

一方、オイルシェールは、原油になる前の有機化合物「ケロジェン(油母)」を多量に含む堆積岩である。
大規模な鉱床が、米国、オーストラリア、ロシア、中国など世界各地で確認されている。しかし、オイルサンドに比べて開発コストの問題があり、大規模な開発は遅れている。

D M E(ジメチルエーテJレ)

常温で無色・微臭の気体であるジメチルエーテル(C2H 60) の略。天然ガスのほか、石炭からも製造できる。従来はスプレーの充てんガスなどに使われてきたが、ここにきてプロパンなどの液化石油ガス(L PG) を代替する次世代燃料として注目されている。

沸点は-23.6 ℃ で、常温でも約6 気圧で液化するため、LP G の輸入・輸送設備を使うことで流通できる。常温で液体ではないものの、天然ガスから液体燃料を作るGTL( ガス・トウ・リキッド) の1 つとも言える。
プロパンに代わる家庭用燃料のほか、ディーゼルエンジンにも使え、ガス化しても黒鉛が出ないため、軽油を代替できるクリーンなディーゼル燃料としても期待されている。改質して水素を取り出しやすいことから、燃料電池の燃料にも向いている。

国内では、JF E ホールディングスが2003 年に北海道白糠町に石炭からD M E を製造する日量100t の実証プラントを建設するなど、普及に向け主導的に取り組んでいる。

G TL

Gas to Liquid s(ガス・トウ・リキッド) の略で、天然ガスに酸素を加えて、分子構造を組み替えて製造した常温で液体の炭化水素燃料のこと。石油資源に代わる液体燃料という側面と、天然ガスの効率的な利用技術という2 つの側面を持つ。

天然ガスの液化プラントに比べ、GT L の設備は相対的に小規模でも事業性が確保できるため、中小のガス田に併設した設備でGTL 燃料を製造し、需要地に運搬するという仕組みが考えられている。
既に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが1993 年からマレーシアで商用ベースのプラントを稼働させ、一部の国でディーゼル燃料などとして使われている。国内では昭和シェル石油が、G T Lを原料とした灯油「商品名はにn コ灯油」) を地域限定で販売している。

G T L は石油由来の炭化水素油に比べ、硫黄分やペンゼン、トルエン、キシレンなどを含まないため、相対的に環境負荷が低いことが特徴で、燃やした時の臭いも少ない。

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