よく分かる環境法 改正食品リサイクル法

市町村またぐ収集を容易に事業者に定期報告義務も

食品リサイクル法の改正案が今国会に提出された。
改正の柱は、取り組みが遅れている食品小売りや外食への支援。
分散した店舗から廃棄物を円滑に収集できる制度を導入する。

進に関する法律(食品リサイクル法)」の改正案が07 年3月に閣議決定され、国会に提出された。
2001 年5月に施行された食品リサイクル法は、約24 万社ある食品関連事業者すべてに対し、発生する食品
廃棄物の「再生利用等実施率」( 発生抑制や再生利用、減量などを実施した割合) を2007 年3月までに20 %以
上に高めるよう求めている。特に年間100t 以上の食品廃抑を発生させる多量発生事業者約1万7000 社は、取り組みが不十分な場合に勧告や社名公表などの罰則の対象になる。

施行後5年が経過し、食品産業全体の再生利用等実施率が37 %から52% に向上するといった成果があった
一方で、「2つの格差」が大きな課題として浮上している。

一つが、業種の違いから生じる格差だ。食品メーカーの再生利用等実施率が80 % を超えているのに対して、食品小売りや外食はそれぞれ31 %と21%にとどまる。

もう一つは、企業の取り組み姿勢の格差だ。例えば食品メーカーで見てみると、再生利用等実施率20 %の目標を達成している事業者は約2割しかいない( 右ページの表) 。

こうした課題を解決するために、今回の改正案には主に5つの事項が盛り込まれた( 下の表) 。なかでも、対象事業者にとって重要なのは、①取り組みの円滑化と、②指導監督の強化策として定めた年1回の定期報告である。

廃棄物処理法の特例を見直し 

まず、取り組みの円滑化として、分散した店舗から食品廃棄物を集めやすくする制度を導入する。
川上に位置する食品メーカーに対して、食品小売りや外食という川下の事業者の取り組みが遅れている主な要因は2つある。① 食品廃棄物が少量・多品種であるため分別の徹底が難しい、② 店舗が分散している場合に廃棄物処理法の規制が壁になり、食品廃棄物を収集しにくいことが挙げられる。

食品廃棄物をたい肥や飼料に再生利用するには、質個以たものを大量に集める方が効率的だ。チェーン展開する小売りや外食にとっては、系列店からの回収が望ましい。

ところが、複数の市町村にまたがった店舗から食品廃棄物を収集するのは難しい。廃棄物処理法の規制によって、廃棄物の収集運搬には市町村ごとの許可が必要になるからだ。それぞれの市町村の許可も持つ収集運搬業者
に委託しなければならないなど、コストとして跳ね返ってくる。

現行法には、市町村をまたいで食品廃棄物を処理する事業者を支援するための「再生利用事業計画認定制度」がある。食品関連業者がリサイクル事業者や農家などと協力して再生利用事業計画を策定し、主務大臣の認定を受ければ、許可を得ていない市町村にあるリサイクル施設へ廃棄物を運搬できるというもの。 しかしこれでは、店舗からの収集にかかる負担は減らせない。

そこで、改正法ではこの制度を見直し、荷降ろしに限っていた廃棄物処理法の適用を除外する特例を拡大した。主務大臣力可忍定した再生利用事業計画においては、全国どの店舗からでも市町村の許可無しで食品廃棄物を収集できるようになる。

認定を受けるには、食品廃棄物から作ったたい肥や飼料で家畜や農作物を育て、その肉や野菜を食品小売りや外食が店舗で販売するという再生利用の循環を作る£ヽ要がある。肉や野菜は、原則として全量を排出元が買い取る。

従来の認定基準では、食品廃棄物からたい肥や飼料を作って農家などに販売するまでの計画を策定すればよかった。ところがこの場合、農家がリスクを一手に負いかねない。生産品を必ず買ってもらえる保証はないからだ。確実な需要が見込めなければ、大量にたい肥や飼料を仕入れにくい。

こうした問題があったため、これまでに再生利用事業計画の認定を受けたヶ- スはわずかに1件。しかも、今年1月になってからの話だ。この5年間、全く活用されていなかった制度を使いやすくして、事業者の取り組みを促進する。

年1 回の報告で全体を底上げ

一方、多量発生事業者に課せられる年1回の定期報告義務は、事業者間の取り組み姿勢の格差を解消するための措置になる。
食品廃棄物の発生量が年間100t 以上の事業者は、毎年度、食品廃棄物の発生量や、肥料化や飼料化といった処理の内容などを主務大臣に報告しなくてはならなくなった。取り組みの進ちょく状況が明らかになれば、社名公表や罰金といった罰則を受けたくない事業者が、積極的にリサイ’クルに取り組むようになると国はみている。
事業者の意識改革を促すとともに、定期報告で集まった優れた取り組みを公開し、全体の底上げを狙う。定期報告を義務づけていない零細企業は、情報提供によって支援する。
改正法では、罰則規定や定期報告義務の対象範囲も広げる。フランチャイズチェーン事業を展開する事業者は、直営店と加盟店を合わせて食品廃棄物の発生量を把握しなければならなくなる。直営店だけだと発生量が100t に満たなかった事業者が、新たに対象になるケースが出てくる。
このほか、再生利用の手法に「熱回収」を認めた。従来は、「肥料、飼料、油脂及び?由脂製品、メタンへの再生利用」に限られていた。しかし、塩分が多い、つまようじなどの異物が混入しているなどの理由で、たい肥や飼料にできない食品廃棄物は少なくない。一定の効率以上でエネルギーを回収できれば廃棄物の焼却を認めるようにして、再生利用等実施率を引き上げる。
改正法が今国会で成立すれば、07年内に施行される。それに合わせて政省令が公布される。定期報告の報告事項や、熱回収する際の基準、再生利用等実施率の目標などを規定する。目標は、業種ごとの取り組みの難易度に応じて設定される見通しだが、客観的な評価は難しく、論議を呼ぶことになりそうだ。

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