よく分かる環境法 廃棄物処理法

廃棄物を排出しない企業は存在しない。法令順守の姿勢が問われる中、廃棄物処理法を理解することがますます

法律が定める「廃棄物」とは

廃棄物とは、「不要物であって、固形状又は液状のもの」( 第2条) と定義されている( 気体は廃棄物ではな
い) 。 1971 年の通知ではもう少し具体的に、「占有者( 排出事業者) が自ら、利用し、又は他人に有償で売却する
ことができないために不要になった物」とされている。 これに該当するかどうかは、① その物の幽犬、②排出状況、③ 取り扱い形態、④ 取引価値の有無、⑤ 事業者の意AR などを総合的に勘案して判断する( 総合判断説) とされている。

ゼロエミッションの達成に向けて企業力剔卜出物をリサイクル業者に売却するケースも増えている。しかし、その代金を上回る運搬費を排出事業者側か負担していることが少なくない。この場合は、「総合的」に判断して廃棄物とみなされ、廃棄物処理法の規制を受ける恐れがある。
廃棄物は事業活動と一般家庭で生じるものとの2つに分かれる( 下の図)。事業活動で発生したもののうち、燃え殼や汚泥、廃油や廃プラスチック類など法令で定められた20 種類のものが「産業廃棄物」に当たる。

大半の廃棄物はこの20 種類に入るが、そのうち紙くずや動植物性残さなど6種類は特定業種で発生した場合以外は、「一般廃棄物」に分類する(事業系一前庭棄物)。

廃棄物を適正に処理する責任は、一廃は市町村にあるのに対し、産廃は排出した企業に課せられている。
そのため、排出事業者には様々な義務が規定されている。排出事業者は産業廃棄物を分別して適切に保管し、自ら処理するか、運搬と処分を外部の業者に委託することとされている。保管や処理については、それぞれ「産業廃棄物保管斜」と「産穀物処胚焦」絞められている。外部に委託する際は廃棄物を扱うための許可を持った業者に委託しなければならない。

許可には収集運搬と中間処理や最終処分などの処分を手掛けるための「業の許可」、そして最終処分場や法律で指定されている焼却施設などの設置に必要な「施設の許可」がある。

許可はいずれも取り扱う廃棄物の品目ごとに取得しなければならず、市町村が管轄する一廃と都道府県や政令指定都市などが管轄する産廃とは、別々の許可が必要になる。廃棄物を自ら剱哩する場合は、業の許可は不要だが、一定規模以上の特定の施設を設置する場合は施設の許可を取得する£ 屡がある。近年は、リサイクルを推進するためにこうした許可を伊叫的に不要にする、「再生利用認定制度」や「広域剱理認定制度」なども創設されている。
排出事業者が廃棄物処理を外部委託する際に最も気を付けなければならないのは、第12 条の「委託基準」の順守である。排出事業者が廃棄物処理法違反に問われる最大の理由が、この委託基準の違反なのだ。特に無許可業者への委託は罰則が最も重く、「5 年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれの併科」となる。業者の許可品目や許可地域以外で委託をしたり、普通の産廃の許可しか持たない業者に特別管理産業廃棄物や事業系一廃をまとめて委託したりすると、違反になる。また、滴TF 剱哩を確実にするために、委託先の中間剱哩業者がさらに別の業者に委託する「再委託」は原則禁止とされている(「再委託基準」を満たしていれば、例外的に認められる) 。委託する際には、廃棄物の性状や処理料金などの法定記載事項を書いた処理委託契約書の作成も義務づけ
られている。 全国産業廃棄物連合会がホームページ(htt p:// w w w.zensanpairen.or.jp/) で提供している、処理委託契約書のひな型が参考になる。

排出事業者にとって、委託基準と並んで重要なのが、「産業廃棄物管理票( マニフェスト)」である。マニフェストとは、産廃が確実に処理されたことを確認するための7 枚つづりの複写式の伝票である。排出事業者は、業者に産廃を受け渡す際に廃棄物の種類や量などを記人したマニフェストを交付しなければならない。収集運搬、中間処理、最終処分が終わると、終了報告の伝票が返送されてくる。排出事業者は控えの伝票と照らし合わせて内容を確認し、5年間保管しなければならない。法定の期限を過ぎても返送されない場合や、返送された伝票に虚偽の記載がある場合、処理状況を調べて知事などに報告をしなければならない。

紙の伝票に比べて作業の手間が省け、偽造を防げる「電子マニフェスト」もある(http://www.jwnet.or.pj /)。 インタ ー ネットが使え るパソコンがあれば誰でも利用できるが、実際に運用するには収集運搬業者と中間処理業者も電子マニフェストに対応している必要があり、普及が急がれている。

罰則強化で注意義務違反導入

廃棄物処哩法は97 年以降、頻繁に改正を重ねてきた。それは一向に減らない不法投棄との闘いの歴史でもある。悪質な業者に対する厳罰化と同時に、適耳ミ処理の責任を負う排出事業者に対する罰則も強化されてい
る。
象徴的なのは、2000年改正で導入された「注意義務違反」による措置命令( 第19 条の6)である。
これは、ある産廃業者が不法投棄などをした場合、適正処理のための注意義務を怠っていたとして、排出事業者にも原状回復を命令できるという規定だ。それまでは、委託契約やマニフェストの運用に問題があった場合が措置命令の対象だった( 第19条の5)が、範囲が大熊に広げられた。例えば、著しく安い料金( 相場の半値程度)で委託していた場合や、その業者が改善命令などの行政処分を受けていたにもかかわらず現地確認などの調査をせずに委託し続けた場合などだ。仮に取引のある産廃業者を調査していても、不適正処分か見抜けなかった正当な理由が示せなければ違反と見なされる。第19 条の6の措置命令の適用事例はまだないが、今後は価格だけで業者を選ぶと手痛いしっぺ返しを受ける恐れがある。

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